チーム・組織にコーチングを活かす

コーチングは基本的に「1対1」で行うもの。それがチームの活性化や組織開発にどのように機能・作用するの!?そんなお声にお応えすべく、「チームとコーチング」「組織とコーチング」について扱う記事をまとめました。


未来を共創する経営チームをつくる(5)チームを再解釈する〜それぞれの解釈の表面化から 「新しい解釈作り」へ~

未来を共創する経営チームをつくる(5)チームを再解釈する〜それぞれの解釈の表面化から 「新しい解釈作り」へ~
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ハイパフォーマー集団だからこそ、チームになるのが実は難しい経営チーム。
組織の成長・変革を牽引する「経営チーム」のつくりかたのヒントを、エグゼクティブコーチがお伝えします。

前章では、 チームとは何なのかについて、考えてきました。

簡単にまとめれば、チームとは "チームとしての目標" を持ち、 "パフォーマンスを部分の総和以上にする" 存在であり、そして、メンバーがおたがいに "気持ちのつながり" を感じ、ひとつにまとまっている......となります。

もし、あなたがこのことに同意し、「よし、経営チームをチームにしよう!」と心に決めたなら、次の一歩は、そのことを他の役員に伝えること。そして、コンセンサスを得て、チーム作りに取り掛かることになります。

しかし、事はそう簡単に進みません。

丁寧に説明していけば、それなりの納得を得られる話だとは思います。ですが、メンバーそれぞれには、それぞれの "チームという言葉に対する解釈" があります。

エース人材としてやってきた彼らは、いろいろな "チーム" を経験しています。結果を出せたときのチーム体験もそれぞれのはずです。

例えば、軍隊のような組織で、一糸乱れぬ統率の中で結果を出してきた人は、それがチームだと思っている可能性があります。また、一人の天才を他の全員で盛り立てるような中で成果を上げた経験がある人は、それがチームのイメージであるかもしれません。

自分のこれまでの解釈を言葉にして表面化させていないところで、一方的に他人の解釈を聞かされても、それにすっと同意できるものではありません。

言っていることは分かる。論理的には分からないわけではない。けれど、自分の経験とは違う......。そう感じると、言われていることが正しければ正しいほど、また、相手が上位者であればなおさらのこと、その違和感に蓋をしてしまいます。表面的には話を聞いているけれど、本当に賛成しているわけではないから、行動を起こすわけではない。

まずは、それぞれのチームに対する解釈を表面化させる必要があります。それには問いかけることが必要です。

  • あなたにとってチームとは何なのか?
  • どんな経験を、チームというものの中でしてきたのか?
  • チームになることは好きか? どんな抵抗があるか? それはなぜか?
  • どんなチームにこれまで属してきたか?
  • チームの中ではどのような役割を果たす傾向が強いか?

どこかで決めた結論に持っていこうとせず、チームに関する問いを間に置いて、たくさん話す。そうすると、それぞれの解釈が徐々に表面化していきます。そして、その後に今度は方向性を絞る。

つまり、新しい解釈を共に創っていくのです。そのための問いとは、次のようなものでしょう。

  • 今の経営環境の中で、我々はどういうチームになるのがいいか?
  • 理想のチームとは何か? それはなぜか?
  • チームになるメリットは何か?
  • チームになると会社全体にどういう影響があるのか?
  • チームにならないとどんな未来のリスクがあるのか?

この段階で「チームとはこういう側面があるとよいのではないか」という、前章でお伝えしたようなティップスを加えてもいいでしょう。人は、一度自分の解釈を表面化させた後、再解釈のプロセスの中では、いろいろな情報をつなぎ合わせることに抵抗を感じなくなるからです。

最初は、ぼんやりとしたイメージの共有でもいいのです。

そして、もうひとつ大切なことは、そこで「チームになる」というコミットメントを取ることです(本書で提案しているようなチームを展望しなくても、もちろん構いません。自分たちなりのチーム像ができ、それにコミットできるのであれば、すばらしいことだと思います)。

この "解釈合わせ" と "コミットメントの確認" のプロセスは、一度やればもう大丈夫というものではありません。繰り返しやる必要があります。

まずは1回、顔を付き合わせて、その機会をしっかりと設ける......それが経営チームがチームになる第一歩だと思います。

〜『未来を共創する経営チームをつくる』第3章より抜粋編集


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