リーダーの哲学

各界で活躍される経営者やリーダーの方々に、ご自身にとっての「リーダーとしての哲学」お話しいただく記事を掲載しています。


指導者とは? ー 歴史上のリーダーたちに学ぶ
東京地下鉄株式会社 代表取締役社長 山村明義氏 × 株式会社コーチ・エィ 鈴木義幸

第2章 常に新しい一歩を

第2章 常に新しい一歩を
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自分に影響を与えた一冊の本を題材に、企業のトップにリーダーとしての哲学を語っていただくインタビュー。今回は東京地下鉄株式会社(東京メトロ)代表取締役社長である山村明義氏にお話をうかがいました。インタビュアーは、コーチ・エィの鈴木義幸。山村氏の選んだ一冊は、リチャード・ニクソン著の『指導者とは』です。

第1章 リーダーとして何を貫き、いかに決断するか
第2章 常に新しい一歩を

第2章 常に新しい一歩を

リーダーとしていかに決断していくのか

鈴木 この本に登場するリーダーの一人、チャーチルを描いた映画を観ました。映画の中で、チャーチルはどちらかというと孤独で、徹底的に自分で考えて決断していくリーダーとして描かれていましたが、山村さんご自身はどういうタイプのリーダーだと思われますか?

山村 そうですね。この本に出てくるリーダーたちのようなアクの強い人間ではありませんね(笑)

鈴木 たとえば、社長として、日々、判断や決断をす時などはどうですか。衆知を集めて最終的に決断するタイプでしょうか。あるいは、自分一人で時間をとって考え尽くすタイプでしょうか。 

山村 まあ、どちらかといえば、「衆知を集めて判断していく、決断していく」というスタイルです。ただ、まだ発展途中のことや初めてのことで衆知が集められない場合には、自分が率先して勉強して考えて、「こういう方向がいいのでは」と方向性を示すということも合わせて必要だと思っています。

鈴木 リーダーとしてのご自身を一文で表現するとしたら、どうなりますか?

山村 う~ん、そうですね。では、そうありたいというのも含めていうなら、「この人についていきたい」と思わせる、そんなリーダーでしょうか。

ふと考える2つのこと

鈴木 この本に描かれている指導者たちも、たとえば、夜一人になったとき、ふと考えること、頭から離れないことが多分あったのではないかと想像するのですが、山村さんはいかがでしょうか。夜、布団に入って一人になったとき、ふと考えることなどはありますか。

山村 大きく分けると2つありますね。ひとつは仕事のことで、ビジョンをどうやって実現していくか、ビジョンに向かっていかに「DO」していくか、ということ。もうひとつは、仕事中心の人生を送ってきたので、そのことで、家族や周りの人たちに何かマイナスの影響を与えていなかっただろうか、という反省ですね。

新しいことを生み出してこそ

鈴木 ここまでいろいろな経験をされてきた今の山村さんが、もしタイムマシンで昔に戻って、新社会人だった自分に何か伝えられるとしたら、どんなことを伝えたいですか。

山村 「新しいことにチャレンジすること」ですね。これは社員たちにも言っていることなのですが、やはり過去の自分にも同じことを伝えたいと思います。今までやってきたことを踏襲するのではなく、新しいことを生み出してこそ面白い人生なんだ、と。仕事でも、人生でも、まず「新しいチャレンジ」を求めていけ、ということを伝えたいですね。

鈴木 そこも一貫されていますね。前例を踏襲するのではなく、新しい一歩、新しいチャレンジが大事だということですね。現在、山村さんご自身にとっての一番のチャレンジは何でしょうか。

山村 今、一番のチャレンジは、東京メトロを世の中にもっと感謝される存在にすることです。そのことを念頭に仕事をしていくことは、社員にとってもワクワク感があることだと思っています。

鈴木 社員のワクワク感ですか。

山村 そうです。リサーチ結果などを見ると、海外に比べて、今の日本の若い人たちは「仕事は生活の糧を得るもの」という思考が強く、自己実現というところが割と弱まっているようです。「東京メトロがあってこそ、東京、さらには日本はよくなっていくんだ」というビジョンを実現できれば、またそういう貢献ができれば、社員のワクワク感にもつながると思うんです。そのためのチャレンジです。具体的には、街づくりなどですね。そうした取り組みが、東京の人の仕事や暮らしのクオリティをより上げることにつながっていくと思います。

リーダーとして大切にするもの

鈴木 最後に、この本に登場するリーダーたちの一人にもしも会えるとしたら、誰に会いたいですか。

山村 ニクソンも含めて、それぞれアクの強い方たちばかりですからねぇ(笑)、難しいですね。会いたいと思うのは、マッカーサーでしょうか。

鈴木 マッカーサーですか。それはなぜですか。

山村 この本を読んでいると、マッカーサーは非常に自尊心が高く、自分の決断に自信を持っていた人物です。それだけにアメリカ議会での軋轢も多かったようです。特に朝鮮戦争のとき、マッカーサー自身はまだまだ戦えると思っていたので、休戦にこぎつけるために、周りが相当苦労したようです。一方で、太平洋戦争では、双方にあれだけの被害を出しながら、それでも戦後日本の秩序回復をしていく。「この方向で日本がよくなるんだ」という見識を持って実行していく。その意志の強さ、アクの強さとリーダーシップに、非常に力強さを感じます。当時の進駐軍は「軍」とは言いつつも、ほとんど「政府」のようなものでしたから、相当いろいろなものを今の社会に残していますよね。そういう意味では、よくも悪くも、日本の復興につながった、そういう力強さに触れてみたいなと思います。

鈴木 こうして伺っていますと、大義のために、前例をいとわず決断し、信じた道を前進し続ける、というのも、山村さんが大事にされてるリーダーとしてのあり方、スタンスなのだと感じます。

山村 基盤に「至誠一貫」という考え方を持ちながら、そういうリーダーシップを求めていきたいと思ってます。

鈴木 なるほど。本日はありがとうございました。非常に学びの多い時間でした。

山村 こちらこそ。振り返りができて、楽しい時間でした。

(了)


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