リーダーの哲学

自分に影響を与えた一冊の本を題材に、各界で活躍されるリーダーの方々に「リーダーとしての哲学」を語っていただくインタビューシリーズです。


組織内のコミュニケーション ~ 環境へのアプローチと人へのアプローチ
株式会社イトーキ 代表取締役社長 平井嘉朗氏 × 株式会社コーチ・エィ 鈴木義幸

第1章 イトーキのミッション/コーチ・エィのミッション

第1章 イトーキのミッション/コーチ・エィのミッション
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株式会社イトーキ代表取締役社長の平井嘉朗氏と株式会社コーチ・エィ代表取締役社長の鈴木義幸が、「組織におけるコミュニケーションの価値」について語ります。オフィス家具国内大手のイトーキでは、『明日の「働く」をデザインする。』というミッション・ステートメントを掲げ、空間づくり・環境づくりの視点から、働き方改革を進める企業を支援しています。コーチ・エィは、コーチングという自発的行動を促すコミュニケーションを通じて、経営者を起点とした企業の組織開発を手がけています。コミュニケーションに対する、環境からのアプローチと人へのアプローチ。それぞれの立場から見えるものを語り合いました。
今回は、イトーキが自らの働き方を実践する場として、そのノウハウを結集し具現化したイトーキ東京本社「ITOKI TOKYO XORK(イトーキ・トウキョウ・ゾーク)」にて対談を実施しました。

第1章 イトーキのミッション/コーチ・エィのミッション
第2章 組織力の成長には、コミュニケーションの質が大事
第3章 コミュニケーションは、出会いを生むことから始まる
第4章 トップの強い意志と、部下に何を問うかで、対話が活性化され組織の成長へとつながる

「明日(あした)」ではなく「明日(あす)」に向けて

鈴木 我々はコーチとして、「人」に焦点を当てて組織内のコミュニケーションの量と質にアプローチしていますが、今日は、オフィス環境という観点から社内のコミュニケーションにアプローチされているイトーキさんのお話を伺えるということで、とても楽しみにしてきました。どうぞよろしくお願いします。

平井 こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。

それでは、お互いの会社の紹介から始めさせていただきたいと思います。まず平井さんから、イトーキさんのミッション・ステートメントである、「明日の『働く』を、デザインする。」についてご紹介いただいてもいいでしょうか。

平井 よろしくお願いします。当社は1890(明治23)年に創業者の伊藤喜十郎が、当時日本にはなかった便利なものを広めて日本の社会を豊かにしたいと、ホチキスや万年筆、魔法瓶などの輸入雑貨を販売する伊藤喜商店として創業し、今年で130周年を迎えます。

鈴木 130周年ですか。長い歴史ですね。

平井 はい。その後、関東大震災を機に家具のトレンドが木造からスチール家具へとシフトする中で、1950年代からスチール家具、オフィス家具の製造販売を主軸とするオフィス家具メーカーとなりました。2000年代以降は、お客様のニーズに合わせて、単にオフィス家具をお届けするだけではなく、空間全体をコーディネートする内装や設備、さらにはオフィス移転プロジェクト全体の支援といったソリューションビジネスへと業容も広がってきています。

特に昨今は、「働き方改革」が国内企業にとって非常に大きなテーマとなる中で、我々イトーキの役割も「働く」という広い意味で解釈をしなければならないと考えました。我々は、未来に向かって「働く」わけですから、今日の次の日を意味する明日(あした)ではなく、近い将来や未来といった意味を持つ明日(あす)と読ませて、その「働く」をお客様とともにデザインしていこうということで、「明日の『働くを、デザインする。』を2017年にイトーキのミッション・ステートメントに策定しました。この「デザインする」も、いわゆるオフィスデザイナーが図面を描く狭義の意味ではなく、お客様の潜在的ニーズを捉えながら我々がどうコンセプトを創りトータルのソリューションとしてお届けするかという、プロセス全体の提供を意図した広義の「デザイン」を意味しています。

鈴木 なるほど。この東京本社は、お客様にそのコンセプトをイメージいただくことを目的としているということでしょうか。

平井 そうです。我々の働いているところをお客様にご覧いただきながら、自らの働く空間や働き方そのものをイメージし、参考にしていただきたいと思っています。そしてもっと重要なことは、お客様にご提案を持っていく我々自身が、実際に利用してみてどうなのかというリアリティを持つ、そのための実践の場でもあります。あとで少し御覧になりますか。

鈴木 ぜひご案内いただけると嬉しいです。

コーチとは「変化する未来に対応するエージェント」

 ありがとうございました。それでは次に鈴木さんから、ミッションを含めてコーチ・エィについてご紹介ください。

鈴木 コーチ・エィは1997年設立で、今年23年目を迎えました。イトーキさんのように130周年を迎えるのはいつだろうと考えると、2127年ですね。まだまだ先だなぁと思いながらお話を伺っていました。

当社の事業はコーチングで、米国のコーチ養成機関のプログラムを日本にもってきて事業をスタートしました。コーチの数は日本でも増えつつありますが、世界を見ると、米国には5万人、ヨーロッパにはさらにそれ以上の数のコーチがいると言われています。コーチとは何か。これを我々の捉え方で一言にすると、「変化する未来に対するエージェント」です。変化する未来は、今の延長線上にはありません。想定外のことが起こるのが未来であり、それに対応していこうとすると、個人も会社も常に「変わることができる」という状態でいる必要があります。平井さんのお話を伺いながら共通していると思ったのは、昨日と同じ今日を生きるのではなく、今日も明日も違ってくるということ。「自ら変わる力」を会社も個人も備えていないと変化にすぐに対応できません。当社はお客様が、自ら変化していくための支援をしたいと思っています。

人には思い込みや思考の枠があり、これを自分の力だけでブレイクできればよいのですが、自分自身も含めて、それはなかなか難しいものです。当社のミッション「関わりの可能性を、ひらく。」は、平井さんとこうしてお話しすることもそうですが、他者と関わることを通して、人からフィードバックを受けたり、問いかけによってチャレンジをさせたりと、自分の思考の枠が広がっていく。そしてもっと踏み込んで、こういうこともできるんだという可能性をひらいていく。そういうことを謳っています。そして、組織は個人の集まりですから、一人ひとりの可能性がひらかれていけば、それは組織の可能性をひらくことにもつながります。一人ひとりが実際に行動に移していけば、そのことで変化が起きるからです。私は、変化するのが普通であるという状態を創っていきたいと思っています。人は本能的に変化に抵抗を覚えるものですが、それでも変化していこうと思う人たちを増やしたい。関わる人の可能性をひらき、変化する未来に対応できる人を作り、そしてその力で組織の成長につなげたい。そう、考えています。

平井 ズシっと来ますね。とても共感しますね。

鈴木 当社が扱っているものはコミュニケーションで、イトーキさんはオフィス家具や空間づくりと、アプローチは異なりますが、僭越ながら、目指すところを同じなのではないかと感じます。

平井 ありがとうございます。私もそう思います。

ITOKI TOKYO XORK見学 その1 [ 社長室 ]

鈴木 ガラス張りの社長室ですね。中に入っても問題ないのでしょうか。

平井 はい。実は社長室も見学ルートとしてお客様に御覧いただいているんです。完全ペーパーレスですから、社外秘の機密書類も紙では一切ありません。

鈴木 ずいぶんと机が高いですね。

平井 この社長室は、世界一健康的な社長室というコンセプトで設計してもらいました。デスクは、高さ調節のできる電動昇降式になっていて、私がずっと部屋では立ったまま仕事をしているのでこの高さなんですよ。一度もデスクを下げたことはありません(笑)。その方が健康に良いですし、まったく疲れないんですね。ここで何か軽く話をするときも集まりやすいです。

鈴木 健康器具もあるんですね。

平井 そう(笑)。毎朝必ずこれでエクササイズをしています。

鈴木 中がまる見えで、恥ずかしくありませんか(笑)。

平井 そういう配慮からブラインドもしつらえてくれたんだけれど、一度もおろしたことないですね。確かに最初は抵抗感がありましたが、すっかり慣れてしまいました。私にとっては心のバリアを緩めることになり、まさに「心の健康」につながったと思っています。

(次章に続く)

インタビュー実施日: 2020年1月29日
聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部


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