リーダーの哲学

各界で活躍される経営者やリーダーの方々に、ご自身にとっての「リーダーとしての哲学」お話しいただく記事を掲載しています。


経営者インタビュー
FPTコンサルティングジャパン株式会社 Nguyen Huu Long(グェン・フゥ・ロン)代表取締役社長

第5回 挑戦を続けることこそが、原動力(FPTコンサルティングジャパン株式会社 Nguyen Huu Long(グェン・フゥ・ロン)代表取締役社長)

第5回 挑戦を続けることこそが、原動力(FPTコンサルティングジャパン株式会社 Nguyen Huu Long(グェン・フゥ・ロン)代表取締役社長)
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さまざまな業界のトップに、経営に関する哲学をお聞きする経営者インタビューシリーズ。第5回は、FPTコンサルティングジャパン株式会社の代表取締役社長であるNguyen Huu Long氏のインタビューをお届けします。

FPTコンサルティングジャパン株式会社は、ベトナムで最も急速に成長しているソフトウェアアウトソーシング/オフショア開発の最大手FPTソフトウェア(本社:ベトナム・ハノイ)を中核とする企業グループの1社です。ベトナムからの奨学生として東京大学に留学し、その後日本をベースに両国の架け橋となりながら挑戦を続けるLong社長に、スタートアップにおける人材の採用や育成・活用などについてお話しいただきました。

戦後復興を遂げた日本に学び、母国ベトナムを強く豊かにしたい

Nguyen Huu Long(グェン・フゥ・ロン)氏 / FPTコンサルティングジャパン株式会社 代表取締役社長
グェン・フゥ・ロンは、東京大学でシステムイノベーションの学士号を取得、金融および銀行セクターを中心としたセクターで、15年以上の経験があります。現在は、FPTジャパンホールディングスとコンサルティング会社エル・ティー・エスとの合弁会社であり、日本市場向けのデジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティングサービスとITソリューションを事業の軸とするFPTコンサルティングジャパンの代表取締役社長を務めています。また、FPTソフトウェアの副社長およびFPTジャパンホールディングスの執行委員会も兼務しています。ロンは、FPTジャパンホールディングスにおいて10年以上にわたり、グローバル金融サービスグループと日本市場のビジネスアライアンスグループを率いてきた経験もあり、日本の大手企業との戦略的アライアンスを成功に導く上で重要な役割を担ってきました。
写真提供: FPTコンサルティングジャパン株式会社

私は、他の多くのベトナム人と同じように、小さいころから日本に対して憧れを抱いていました。ベトナムで日本企業のブランドが有名なこともありますが、戦争を繰り返してきた歴史を持つベトナム国民にとって、第二次世界大戦で敗戦後、日本が経済的に大きく立ち上がっていったその姿は、単なる憧れではなく、見習いたい姿でもあります。私は数学教師をしていた母の影響もあり、小さいころから数学、サッカー、中国将棋などが好きな少年でしたが、成長するにつれ、ベトナム戦争終結以来、長く平和が続いている時代に生きているからこそ、国を強く、より豊かにする貢献をしたいという思いを抱くようになりました。

今のベトナムの若者の留学先には、米・豪といった英語圏も含め幅広い選択肢があります。それでも日本の人気が根強い背景には、日本に対する憧れのほか、ベトナムに進出した数多くの日本企業の存在感が大きく、留学後の就職先候補として視野に入りやすいこともあるでしょう。日本とベトナムは、経済・文化面だけでなく、政治的にも、日本の歴代首相が就任後初めての海外訪問先にベトナムが入ることが多いなど、両国の関係は非常に親密で深いのです。

私自身がビジネスへの関心を強めていったのは、ベトナムからの奨学生として東京大学に留学していた時でした。卒業後、日本企業内でベトナム事業を立ち上げた経験もしましたが、ビジネス以上に、新しいことへの興味・関心が高まる中で、未来を変えうる挑戦を続けられるFPTグループに入りました。今はその日本拠点で、テクノロジーとデータ活用等のコンサルティングを手掛けるFPTコンサルティングジャパンの社長を任されています。

「0」を「1」にする挑戦に胸が躍る

FPTコンサルティングジャパンは、ベトナム最大手のソフトウェア会社を中核とした企業グループの1社で、日本に拠点を置きます。FPTグループの日本進出は2005年でしたが、裾野の広いピラミッド型構造の日本のITサービス業界において、ベトナムの豊富な人材リソースを強みに事業を展開していく中で、顧客に直接ご提案ができない歯がゆさを感じていました。FPTグループが抱える優秀な人材の活用と、顧客メリットの向上を追求するには、日本のIT業界における新たな立ち位置を掴まなければなりません。それは場合によっては業界の慣習を変革することにもつながりますし、そのためにはFPTグループ自体も、ビジネスや雇用の在り方、さらには企業カルチャーという点で、大きく変容していかなければなりません。

そこで、FPTの中核会社ではなく敢えて外に新会社を設立し、FPTグループのリソースを活用しながら、外部からも人材を招聘し、変革を進めよう。そういう思いで設立したのが当社なのです。

提供 FPTコンサルティングジャパン株式会社

このチャレンジは、もともと存在する「100」を10倍、100倍に拡大していく挑戦とは異なります。起点は「0」。この「0」を「1」に変える、そして「1」を「10」や「100」に変えていくチャレンジです。「0」からのスタートには、ルールや慣習が存在しません。自分たちで考えて作っていかなければなりません。言い換えると何も縛りのないフィールドで、自分たちのやりたいことを実現するためにアイデアやノウハウを最大限発揮できるフィールドが広がっているのです。もちろん、「0」が「1」にならなかったら、その責任はすべて自分たちが負うことになりますが、私はこの「0」を「1」にするフェーズにこそ、最もワクワクするのです。

共に挑戦する仲間が、存分に活躍できる環境を作る

そんな私が今最も時間を使っているのが、新規採用です。2020年2月以降、陣容を急拡大し、現在社員数は約90名。うち約半数はFPTグループ内の人材が占めていますが、それ以外の人材は、新たにグループ外から採用しています。FPTグループのメンバーを呼ぶにしても、新たに外部から採用をするにしても、当社に入社される仲間には、共に同じ認識で、新しいことに取り組む挑戦が待っています。ですから、採用までのプロセスはとても大切で、1人に対し複数回面談をし、その上で当社の取り組みに賛同していただいてから入社を決めていただいています。

また、当社に入社された方は、新卒であっても、大企業ではなくスタートアップの当社を選ぶという、それなりのリスクを負って入ってきてくださっています。ですから、そうした人材には、当社にいることはその方にとってチャンスだと思ってもらえるような環境を作らなければなりません。一人ひとりの能力を存分に活かせる形にしないと、お互いにとって不幸になってしまいます。ですから新たに加わった人材が、FPTグループ内で存分に活躍できるよう、会社の基盤や資源を〝使い倒す″つもりで活用してもらいたい。そのための施策を考えるのも私の仕事です

FPTの一番大きなリソースは、ベトナムに36,000名、日本に1,500~1,600名いるベトナムのエンジニアです。FPTコンサルティングジャパンの90名で仕事をするのではなく、この4万人弱の組織、体制を活用しながら、当社の事業を進めると同時に、一人ひとりがより活躍しやすいクロスファンクション的な体制づくりにも挑戦しています。

提供 FPTコンサルティングジャパン株式会社

ゴール設定では、組織のゴールと合致するかを確認する

私が話をする機会がもっとも多いのは、それぞれの事業を推進するキーマンたちです。彼らとはそれぞれ、どのようなゴールを設定すべきかについて話し合います。新規ビジネスを立ち上げようとか、個別にさまざまなテーマでゴールを設定していく中で、私が必ず確認することがあります。

一つは、的確なゴールが見つかっているかどうか。そしてもう一つは、彼らがやりたいこととFPTグループとしてやりたいこととが合致しているかです。FPTグループ内で活用しうるリソースをアドバイスすることは、16年間グループに在籍している私の役割です。私のレポート先に当たるベトナム本社のCOOも、私のチャレンジを尊重してくださり、その挑戦を通じて会社への貢献や周りの社員への働きがいへとつなげてほしいとの期待もありますから、この点の確認は欠かせません。もちろん両者のやりたいことが合致していない場合もありますが、その時は、FPTグループ以外のパートナーと進めていく選択を検討します。

ゴール設定は非常に重要です。ゴールが明確になれば、進めていくために必要な体制づくり、つまり人員やグループ内連携やグループリソースの活用方法、デリバリーの仕方など、具体的なアクションが目に見えてくるからです。

私は綿密なスケジュールを組んで、タスクを振り分け、すべての進捗を細かく管理するような細かいマネジメントは得意ではないので、それぞれがゴールを設定した後は、達成できるためのファシリテーションをお手伝いする、あるいは、やりたいことが見えていないメンバーに対しては、どんなことに取り組んでいこうかとファシリテートしていきます。一人ひとりが存分に能力を発揮し、そのことが同時に会社としての成功につながるよう、ファシリテーションするのが私の役割です。

日本とベトナムの架け橋として

今は、FPTグループの中の一つの組織としてのFPTコンサルティングジャパンの運営を任されているという立場ですが、将来的には今のファンクションを活かして、グループ全体のビジネスにも挑戦できるようになりたいと思います。

FPTグループそのものが、日本とベトナムをつなぐ架け橋のような環境ですし、自分たち次第で、「1+1」のような成長ではなく、指数関数的に広がっていくチャンスが潜在的にあると思っていますので、そうした事業を通じて、日本の強みとベトナムの強みを活かし相互に補完することで、両国の関係をより強固にする貢献ができればと思います。

本記事は2020年10月の取材に基づき作成しています。
内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
表紙写真: FPTコンサルティングジャパン株式会社提供


FPTコンサルティングジャパン株式会社について

FPTコンサルティングジャパンは、多岐にわたるテクノロジー導入や製造工程のデジタル化などの豊富な実績を有するFPTジャパンホールディングスと、事業戦略策定やプロセス再構築からテクノロジーやデータの活用に向けたビジネスサイドのコンサルティング領域に強みを持つ株式会社エル・ティー・エスの合弁会社です。両社の強みを組み合わせることにより、多くのお客様に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を推進しています。


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