米国コーチング研究所レポート

ハーバード大学医学大学院の外郭団体、「コーチング研究所/Institute of Coaching (IOC)」所蔵のコーチングに関する論文やリサーチ・レポート、ブログなどをご紹介します。


リーダーを先入観から解放する方法

原題:Thinking Errors and the Coaching Process: How to Help Your Leaders Make Better Decisions | by Christy Pearson
リーダーを先入観から解放する方法
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先入観を持つことはよく起こることだが、多くの人にとってはあまり理解されていない概念かもしれない。簡単に言えば、先入観とは自分の考え方に誤りがあるときに生まれる。一般的に、先入観とは、何かがそうあって欲しいと信じ込む、または納得させるための手段だ。私たちは、自分が聞きたいと思うストーリーを自分に言い聞かせるのだ。

先入観は、認知のゆがみ、誤った信念、あるいは認知バイアスとも呼ばれる。知っておくべき大事なことは、私たちは考えるが故に、その考えに幾分誤りが生じるのだ。

先入観を持つことはよくあることなので、クライアントとのコーチング・セッションでも耳にする。そして、十分に注意しなければ、先入観に気づけないかもしれない。コーチとして最初にすべきことは、先入観とは何か、そしてそれがコーチング・セッションではどのような形で現れるかを知ることだ。

コーチング・セッションでよく耳にする先入観

確認バイアス

以前から抱いていた思い込みを支持、あるいは「確認」するための情報を探して同意する傾向。

「私は、技術者とは変化に抵抗するものだといつも思っていた。だから、我が社の技術部門が新しい構想に反対しているのは当然だと思う。」

利己的バイアス

ポジティブな出来事は自分の行い、そしてネガティブな出来事は外的要素に起因するとする傾向。

「私は幾つものビジネスを立ち上げ、成功してきた。数少ない破産したビジネスは、景気の下降が原因に他ならない。」

結論を急ぐ

限られた情報に基づいて結論を出す。

「採用候補者は面接で少し緊張していた。だから、この人が仕事のストレスに耐えられるはずがない。」

情報バイアス

アクションにつながらない情報を求める傾向。情報を多く集めても、それがよりよい決断を導くとは限らない。

「この新構想が生み出すであろう結果を調査をするために、サブコミッティーを結成しよう。そしてその調査結果を踏まえて、プロジェクトチームに私たちの次なるアクションの進路を決めてもらえば良い。」

バンドワゴン効果

他の多くの人々が信じているという理由で、同じ考えを信じる傾向。

「私のチームが、私たちのプロジェクトは良いと思っているので、計画よりも早くプロジェクトを立ち上げることにする。」

計画性の誤認識

仕事が完成するまでに要する時間を過少評価する傾向。

「もちろん、我々は即座に新しいマーケティング戦略を立てることが可能だ。」


コーチである私たちが、クライアントの言葉を額面通りに受け止めると、問題が生じる可能性がある。クライアントの状況説明から、私たちがそのストーリーの見方にとらわれてしまうと、そのストーリーが誤った情報、ゆがめられた認識、そして間違った仮説に基づいている可能性を見落としてしまうかもしれない。

先入観に気づく方法

私たちは、クライアントの考え方や思考プロセスが、彼らが情報を認識したり、決定したり、分析または加工したりすることに影響しているということに気づかせることができる。そのことは、クライアントにポジティブな影響を及ぼす。ある程度、ゆがんだ考え方に気づかないと、クライアントが自分のビジネスに惨憺たる影響を及ぼすような決定を下すかもしれない。

先入観はよくあることで、その影響を受けないものはいない。重要なのは、思考プロセスに注目し、先入観の影響を処理したり、低減するための最善策を決めることだ。以下の手段を利用すれば、誤った考え方によるネガティブな影響を低減することが可能だ。

  • 自己認識を高める。あなた自身のバイアスは何ですか?あなたの信念のシステムは何か、また、この信念が意思決定時にどう影響しているのか?
  • 好奇心をもち、質問する。ある問題について最初の回答、あるいはある状況について最初の意見を受け入れるのは回避すること。
  • 別の観点にオープンであること。他の考え方も模索すること。
  • 常に自分自身または他人になぜ?と問うこと。問題、状況そして理論的根拠を理解しようとすること。
  • 懐疑心を少し持ち、現状、早期のデータまたは大多数のコンセンサスを受け入れるのを回避すること。正解または好評とされることに対して少し慎重になると、少々の懐疑心が役立つことがわかる。
  • 「わからない」と口に出して、より多くの情報、意見または視点を求めること。これが、より多くの会話と、問題の探求を促進するだろう。
  • 違った視点から問題を見ること。真っ先に思い浮かんだ考えに固執するよりも、別の始点やアプローチを用いてみること。

先入観は誰でも持っているもの

認識とは多くの場合、プロセスの中で最も難しいステップであり、その理由は私たちがさまざまな先入観を持っていることを否定したり、あるいは自分の思考スタイルが状況に対してネガティブに働くことを認めたがらないからだ。コーチとして、私たちは先入観に影響されやすくはあるが、認識と理解によって最善の対応が可能となる。

最後の教訓として、先入観とは非常に持ちやすいものであり、とても有能で経験豊富なプロフェッショナルでも、その影響を受けないことはない。あなたがオープンマインドであり続け、好奇心を持ち、真実を追求し続ければきっと大丈夫だ。

筆者について

Christy Pearson(クリスティ・ピアーソン)氏は、小規模なコンサルティング会社(Opus Leadership Group)の共同創業者。リーダーシップ開発などのサービスを企業のエグゼクティブ層に提供している。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Thinking Errors and the Coaching Process: How to Help Your Leaders Make Better Decisions

(2016年5月11日にIOC BLOGに掲載された記事の翻訳。IOCの許可を得て翻訳・掲載しています。)


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