部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「価値」と「ニーズ」 自分の原動力を知り、自分を活かす
2019年06月25日
自分を活かすには、「自分を知る」ことが必要です。
さて、あなたは自分自身のことをどのくらい理解しているでしょうか。たとえば、自分の原動力は何かを知っていますか?
案外、わかっていないのが、自分のこと。逆を返せば、自分のことをもっと知れば、もっと自分を活かすことができるはず。そこで、今回は、自分のこと、とりわけ「自分の原動力」を明らかにするための次の3つのツールを紹介します。
- 価値を見直す
- ニーズを満たす Part1
- ニーズを満たす Part2
「価値」と「ニーズ」
コーチングにおいて、しばしば人の原動力として注目するのが、「価値」と「ニーズ」の2つです。それぞれについて、コーチングツールをヒントに少し詳しく見ていきましょう。
まずは、「価値」についてです。「価値」とは何を指すのでしょうか。
価値を見直す(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
あなたはどのような時にやる気になりますか?
時間を忘れて夢中になるのはどんな活動ですか?
そうした、「人が自然に惹きつけられる行為や行動」のことを、このツールでは「価値」と呼びます。
価値とは
「価値」は、その人が夢中になり、いくら時間を費やしてもいいと感じるような活動、趣味の対象なので、その人の質の高い健全なエネルギーを引き出します。(中略)その人が本質的に求めているものであり、幼い頃からその人の中に変わらずあるものなのです。
「価値」が実現できていると、人はもっとも自分らしくいられます。(中略)「価値」に基づいた人生は、単なる楽しさや満足感を超えた充足感、幸福感をもたらします。
(「価値を見直すより」)
「価値(自然に惹きつけられる行為や行動)」は、人の高いエネルギーを引き出しますから、自分がどのような「価値」を大切にしているのかを明確にすることは、パフォーマンスアップにつながります。
しかし、自分の「価値」をパッと言語化できる人は、あまり多くありません。なぜなら、まず、そうした経験があまりないからです。
「価値」をリストアップする
そこで、コーチは「価値のリスト」を使います。
「価値のリスト」には、「挑戦する」「創造する」「人をつなぐ」「育てる」といった「価値」の言葉が150個ほど並びます。そのリストを見ながら、コーチと一緒に自分の「価値」を探っていきます。もちろん自分で言葉を足してもOKです。
自分ですっと選べる場合もあれば、誰かと話し合うことでわかることもあります。また、日々、自分の行動や気持ちの動きを観察することで特定することもできます。
「価値」は一つに絞る必要はありません。大事なのは、上記にあったように、自分の活力となっているものであること。そうであれば、複数あってもいいのです。(5つほどがいいでしょう。)
とはいえ、「価値」を特定するのは簡単なことではありません。
なぜなら、私たちは、日頃から、周囲の期待や求められる役割に応えようとしていることが多いからです。つまり私たちは知らないうちに、「価値」以外のものを原動力としているのです。
だからこそ、「価値のリスト」に取り組み、改めて自分の「価値」を明確にすることには、とても意味があります。
ただ、次のような理由から、「価値」が表面化してこない場合があります。
価値が表面化するのを妨げるもの
満たされないニーズ、すべきこと、妥協、未完了、ストレス、役割、お金、義務
(「価値を見直す」より)
特に、一つ目の「満たされないニーズ」には注意が必要です。なぜなら、「価値」と混同しやすく、混同してしまうと悪影響を与えうるものだからです。
「価値」と混同されやすい「ニーズ」
そこで、コーチは「価値」と合わせて、「ニーズ」についても注目します。
その時に使えるのがこちらです↓
ニーズを満たす Part1(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、「ニーズ」についてこのように説明しています。
内面的なニーズ
私たちが生きていくためには、空気、水、食物、住居などが必要です。これらは物理的な「ニーズ」ですが、ここで扱うのは、私たちの内面的な「ニーズ」です。私たちが、自分らしくあるために必要なものであり、 自分がよい状態にあるために必要不可欠なものです。
多くの人々は、この「ニーズ」を満たすために行動を起こしています。「ニーズ」が満たされていないと、 イライラしたり焦ったり不安になったりします。
そして、自分自身の「ニーズ」に気がついていないため に、ただやみくもにそれを満たそうとして、駆り立てられるように行動してしまいます。
(「ニーズを満たす Part1」より)
人は「価値」だけでなく、この「ニーズ」を満たそうとして行動を起こすこともあります。つまり、「ニーズ」も一つの原動力なのです。
しかし、「ニーズ」は健全な原動力ではないので注意が必要です。というのも、「ニーズ」は一度満たされるとそこで満足してしまい、それ以上は行動の原動力にならないからです。
一方で、満たされないとイライラ、焦り、不安を引き起こします。(ちなみに、前述の「価値」は「満たされる」という類のものではないため、ずっと原動力であり続けます。)
問題なのは「ニーズ」自体ではなく、私たちが自分自身の「ニーズ」を認識せず、「無意識に行動していること」にあります。
つまり、自分自身の今の「ニーズ」に気づき、それを適切に満たせばいいのです。
そうすることで、今度は自分の「価値」に目を向け、「価値」に基づいた健全なエネルギーで行動を起こしていけるようになります。
では、「ニーズ」について理解したところで、最後にこちらのツールを紹介しましょう。
ニーズを満たす Part2(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
こちらのツールは、先ほどの「価値リスト」と同様、さまざまな「ニーズ」がリストになっています。
「認められる」「勝利する」「コントロールする」「安全である」と言った言葉が並ぶリストを見ながら、自分の「ニーズ」を探ることができます。
自分の原動力を認識する
さて、いかがでしたでしょうか?
あなたを今、つき動かしているものは、「価値」でしょうか? それとも「ニーズ」でしょうか?
こうした「ニーズ」や「価値」を自分で特定するのは、なかなか難しい作業です。それゆえに、これらはしばしばコーチングのテーマになります。
しかし、まずは、原動力には違う種類のものがあることを知り、「今、自分はどちらに動かされているのだろう?」と自己観察できるようになるだけでも、セルフコントロールとパフォーマンスアップにつながります。
ぜひこれを機会に自分自身に目を向け、自分というリソースをさらに活かしてみてください!
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