部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「自己認識」向上シリーズ(15)〜コミュニケーションをチューニングする力
2021年07月01日
近年、リーダーに不可欠な能力として注目されている「自己認識力」の向上をテーマに、役立つツールを毎回テーマ別にご紹介。
今回のテーマは、「コミュニケーションをチューニングする力」です。
コミュニケーションはある意味、生物(なまもの)です。
いつも絶対うまくいくとは限りませんし、誰にでも効果的な関わり方もありません。
そして、同じ相手でさえ、タイミングや状況により、以前はうまくいっていた関わり方がうまくいかないこともあります。
まずは、「コミュニケーションが、うまくいかなくなることは、いつでも、誰とでもありうる」と認識することが必要です。そして、違和感や課題を感じたら、まずは自分のコミュニケーションのしかたを振り返り、変える、コミュニケーションのチューニング力が必要です。
さて、そうしたとき、あなたは、コミュニケーションの「どんな点」に目を向け、具体的に「どんな変化」を試みているでしょうか。
今回はコミュニケーションの状況をキャッチし、チューニングするために役立つ視点を提供するコーチングツールをご紹介します。
まずは、大きく掴む!
一口にコミュニケーションといっても、さまざまなものがあります。ここでは、 "相手をうまくいかせる" コミュニケーションの一つとしての「コーチング」にヒントを得ていきましょう。
まず、ご紹介するのは、コミュニケーションを大きく俯瞰してつかむためのこちらのツールです。
コーチング・プロセス(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
これは、コーチング・プロセスにおける次の「3つの基本的要素」に目をむけ、検討するためのTIPSです。
- クライアントが自分自身を発見し、理解する手助けをする
- クライアントが何を最も求めているかを突き止め、明確にする手助けをする
- クライアントがどのように自分のゴールを達成するのかの戦略を練り、実践する手助けをする
あなたは普段、業務上のやりとりや1on1ミーティングなどで、1〜3のどの要素について話すことが多いでしょうか。
このツールではこの3つの要素について、次にように述べています。
"我々は、「誰」の部分がコーチングを非常に強力な武器にする要素である事を発見しました。目的(何を)や戦略(どのように)がどれだけ素晴らしくても、その人(誰)と調和していなければ目的の達成にも時間がかかり、 その人が求める自己像に到達せず、幸せ度や満足度も最高の状態にはなりません。"
普段、もしあなたが、あまり1の「その人自身(誰)」に目を向けていなければ、そこにチューニングのチャンスがあります。
たとえば、次のような点から、「その人自身」に焦点を当て、またそのことを話題にしていくことで、起こせる変化があるはずです。
参考
次に、細かくスキャン!
今度は、もう少し具体的な点に目を向けてみましょう。そのとき、参考にできるのがこちらのツールです。
コーチングの避けられる失敗100(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
これは、コーチングでコーチがよくしがちなミスを10のカテゴリーに分類し、合計100個紹介するツールです。そして、これらは "気づきさえすれば、直すことができるもの" です。
さて、こちらのツール、もともとはプロフェッショナル・コーチ向けに開発されたもののため、一般的な状況の参考にしやすいのは、前半の4カテゴリーになります。今回は、その中から、数項目ずつご紹介します。
普段のコミュニケーション、特に改善をはかりたい相手やシチュエーションでのコミュニケーションを思い浮かべながら、振り返ってみてください。
- 焦点のずれ
- クライアントという人物についてではなく、クライアントの目標/達成に焦点を当てている
- クライアントの行動が示していることよりも、クライアントの言うことに多くの注意を払う
- あなたが話し合う必要性を感じているからということで、クライアントが望んでいない話題を押し付ける
- 弱いコーチング
- 言うべき事を言わずにすませてしまう
- クライアント自身の手で成功するように刺激を与え/挑戦させるかわりに、クライアントを成功させようと頑張りすぎる
- クライアントは皆同じであるかのようにコーチングを行う
- コミュニケーションの欠点
- わかりやすい言葉を使わずに、専門用語を使う
- 時間を節約したいという気持ちから、クライアントの言葉をさえぎる
- 自分が正しいと信じていて、それを態度に表す。またそういう態度がクライアントの気持ちにどんな影響を与えるかを考えない
- 自分本位
- クライアントを手助けしたいと熱心なあまり、あなたのやり方、見方、予定をクライアントに押し付ける
- プレッシャーをかけることを恐れて、クライアントに多くを求めることをしない
- クライアントの強み、やる気、リソース、豊かさを過小評価する
もし、今は、ずばり適用できるケースがなかったとしても、このような視点をあらかじめ持っておくことで、実際にコミュニケーションに違和感を感じたときに、改善に向けての手がかりとすることができるはずです。
参考
いかがでしたか?
まずはぜひ自分について活用してみてください。
そして次に1on1ミーティングなどで、次のリーダー候補やマネジメントに関わる部下とも活用してみてください。
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