部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「ミーティング」を「チームを育てる場」に!(2)〜「主体性」と「当事者意識」を引き出すセットアップ
2019年07月30日
(1) | つねに明確に共有すべきものとは? |
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(2) | 「主体性」と「当事者意識」を引き出すセットアップ |
(3) | 強いチームをつくるコーチング型コミュニケーション |
ミーティングメンバーの参加姿勢は?
あなたが主催するミーティングでは、こんな場面を目にすることはありませんか?
- なかなか発言しない
- 代わり映えのない意見やアイディアしかでてこない(議論自体は堂々巡り)
- 当事者意識がなく、どこか他人事
- 前回のミーティングから進捗がない(ときにはふりだしに戻っている)
- 遅刻、欠席が多い(やむを得ないものを除く)
こんな態度を目にすると、メンバーのやる気のなさを嘆きたくなるかもしれません。
しかし、これらは本当に、メンバーのやる気だけの問題でしょうか?
本当はもっと積極的に参加できるのに、何らかの要因にそれを阻まれている可能性はないでしょうか?
主体性と当事者意識を引き出すもの
ミーティングの主催者はいわば一番の当事者ですから、そのミーティングのテーマを日々考えています。
しかし、メンバーにとっては、そのミーティングは数ある業務の1つに過ぎません。しかも、たいていのメンバーは忙しい日々をおくっています。
となれば、よほど興味・関心のあることでない限り、後回し、さらには次回のミーティングまで思考は一旦お休み、ということもあり得ます。
たとえば、あなた自身、こういう体験はないでしょうか?
- ひとまず約束の時間になったのでミーティングに参加
- ミーティングが始まって、やっと色々思い出した
- いきなり言われても考えられない、発言できない
- はじめに言っておいてくれたら準備しておいたのに
- ミーティングが終わった後にいいアイディアや共有すべきことを思い出した
これらに共通しているのは、ミーティング前の「情報」と「備え」の不足。
ミーティングが始まるまで何をするのか、何について話し合うのかわからない。
それでは、受け身になったり、お客さん気分になってしまってもおかしくはありません。
つまり、必要なのはミーティング前のセットアップです。
準備の機会を提供し、情報とイメージを共有する
次回のミーティングについて
- ミーティング内容の情報とイメージが明らかになっていれば、
そして、
- 事前に考える機会が提供されれば、
それまで発揮されずにいた、メンバーたちの主体性と当事者意識が自然と現れてくる可能性も高くなります。
とはいえ、では具体的にはどうすればいいのでしょうか?
そこで、ご紹介したいのがこちらのツールです。
ミーティング準備用紙(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、次のような項目についての棚卸しを促します。
場合によっては、事前に回収し、それをメンバー全員で、事前もしくは会議のはじめに共有してもいいでしょう。
- 前回のミーティングからの課題とその状況
- 前回ミーティング以降の成功/獲得/達成
- やろうとしたけれどもできなかったこと
- 現在直面している課題や問題
- 現在手の届くチャンス
- ミーティングで出席者にお願いしたいこと
- 次のミーティングまでに行うと約束すること
こうした準備用紙の提供をきっかけとして、ミーティングでどんなことを話し合うのかを具体的に「情報共有」し、メンバーに改めて「考える機会」を提供することができます。そのことにより、メンバーは事前に備えることができ、主体性と当事者意識を高めてミーティングに臨むことができます。
さらに、この試みはミーティングのウォーミングアップとして機能するだけでなく、メンバー一人ひとりに自分自身の取り組みを客観的に思考する体験と方法を提供します。
ミーティングの前にそうした思考や振り返りを繰り返すことで、ミーティングに限らず、ふだんから自分の取り組みを振り返ることが自然と習慣になることも期待できます。
セットアップはタイミングも重要!
さて、最後に重要なポイントを1つ。それはセットアップの「タイミング」です。
このツールには「少なくともミーティングの2日前には」とありますが、できればもっと早めがお薦めです。
なぜなら、このツールの共有自体がミーティングのリマインドとなり、「そういえば忘れていた...」ということに取り組むこともできるからです。
さまざまな角度から、チームの取り組みを振り返ることで気づきを得て、ミーティングの前に新たな行動を起こすメンバーさえも出てくるかもしれません。
その意味では、少なくとも1週間前、もしくは、ミーティングとミーティングのちょうど中間あたりで準備用紙を提供するといいでしょう。
場合によっては、ミーティング終了時に配り、ミーティング後のアクションプランの確認を兼ねてもいいかもしれません。
適切なタイミングでミーティングについて情報を共有し、多角的に考える機会を提供することで、主体的にミーティングに参加するメンバーが増えていくことでしょう。
さて、いかがでしたか?
ぜひこうしたツールを活用して、ミーティング準備の「機会」をメンバーに提供してみてください。
情報不足を解消し、備えられる環境を整えることで、今はまだ眠っている、メンバーたちの主体性と当事者意識を引き出すことができるかもしれません。
次回のテーマは、
です。どうぞお楽しみに!
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