部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「1on1」に使えるチェックテスト(4) 部下と今後のキャリアステップを共に考える
2020年07月09日
上司にとっては、対話の話題づくりに。
部下にとっては、自分を様々な視点で見つめ直す機会に。
そんなきっかけづくりに役立つオンラインチェックテストを、毎回違った切り口で2つずつ紹介していきます。
今回の切り口は、
「今後のキャリアステップ」です。
部下とキャリアステップの話をしていますか?
あなたは、部下が
「自分の今のキャリアについてどう考えているか?」
「この先、どんなキャリアステップを望んでいるか?」
を知っていますか?
そうしたことについて話す機会を、ふだんからどのくらい持っているでしょうか?
年に数回、評価面談で話しているから大丈夫!という方もいらっしゃるかもしれません。
でも、本当にそれで十分でしょうか?
中には、そんなことを話し出したら、部下の不満や思いがけない希望が出てきて困ったことになるのではと、なんとなく話し合うのを先延ばしにしている方もいるかもしれません。
でも、あなたが聞かなければ、部下がそうした不満や希望を持っているかどうかは知りようがありません。
そうであれば、率直に話し合ったほうが互いにスッキリし、問題を解消したり、未来を共有することにもつながるチャンスにできるのではないでしょうか。
また、優秀な人材ほど、自分のキャリアについて話したり、考えたりする機会を求めています。ときにそうした機会の不足が、転職の一因となることもあり得ます。
かといって、定期面談でもないのに、急に改まってそんな話題もふるのも躊躇してしまうという方に、ぜひご活用いただきたいのが、次の2つのチェックテストです。
現在のキャリアをどうとらえているかを知る
Test.jp キャリア満足度チェック(無料)こちらは、キャリアコーチングを受ける際に、焦点を当てたい項目を明らかにするためのチェックテストです。
自分の現在のキャリアや方向性にどのくらい満足しているか、変化させるとしたら何を変化させたいかを明らかにするための20項目で構成されています。
回答するのはたとえば、以下のような項目。
「仕事が多すぎたり、責任が重すぎる」
「自分の可能性の限界と、やってみたいという気持ちの間で悩むことがある」
「キャリアのゴールが見えない」
これらにあてはまるかどうかを5段階で回答すると、100点満点で現在の「キャリア満足度」と短いメッセージが表示されます。
こちらのチェックテストは、扱い方に少し工夫がいります。
この工夫を怠ると、ただ部下の不満を顕在化させたり、不満を職場、上司、状況のせいにする思考に陥らせることがあるからです。
大切なのは、セットアップ。
現在のキャリアや方向性を今一度棚卸しし、よりよい状況を共に築くための材料として、このチェックテストを提示すること。
また、事前に上司側も、それぞれの項目内容をチェックすると同時に、その部下がどう考えているだろう? と想像しておくことで、部下の認識とのギャップに、上司自身が気づいていくことも重要です。
大事なのは「今足りないこと」や「不満」に目を向けるのではなく、視線は「よりよい未来」に向けること。
そして、必要なのは、そこに「共に向かう」というチームワークです。
キャリアマネジメントについて話すための1歩
Test.jp キャリアマネジメント能力(無料)こちらは、「キャリアマネジメント能力」をチェックするテスト。
自分のキャリアを見つめ、マネジメントできているかを、全32項目でチェックします。
たとえば、
「現在のポジションを考慮に入れながら、自分のキャリアプランを毎年、見直している」
「現在の仕事が自分の全体的なキャリアプランに、どういう役割を果たしているかを理解している」
といったストレートなものから、
「どのポジションにいても、次のキャリアのためにスキルを磨いている」
「自分の職業に関連する記事をよく読む」
といったキャリアマネジメントに必要な心構えやふだんからの備えについても棚卸しすることができます。
回答が終わると、128点満点でキャリアマネジメント能力を診断。加えて、「満足できるキャリアマネジメント10の秘訣」というTIPSも読むことができます。
このチェックテストの扱いについても、一つ注意点があります。
それは、事前に上司自身も受けておくことです。
なぜなら、このチェックテストは偏りなく、広い意味でのキャリアマネジメント能力を棚卸しするため、
「求人情報などマーケット情報は常にチェックしている」
「仕事の空きがないかをリサーチするために、友達などの人脈を使っている」
といった転職も視野に入るような項目もあるからです。
先にそうした項目をチェックしておくことで、部下との話し合いに備えておく必要があります。
上司としては、少しドキドキする項目もありますが、そうしたことも話し合える雰囲気をつくっておくことで、たとえば「転職しかない!」と思い込んでしまった部下と、実は社内にあるチャンスについて話し合うきっかけをつくる、といった可能性をひらくこともできます。
ただ、とてもオープンな項目が多いので、事前に自身でしっかりとチェックして備え、決断とセットアップのうえで使うことをお勧めします。
いかがでしたか?
今回ご紹介したテストが、対話と、成長・飛躍のきっかけとなりますように。
ここがポイント!
自分一人でなら気軽に楽しめる「チェックテスト」も、上司と一緒に扱う、上司に結果を見せるとなると、ちょっと構えてしまうこともあるかもしれません。そこにあるのは、「評価される」という感覚や、「ダメなやつとは思われたくない」、反対に「自惚れていると思われたくない」といった気持ちでしょう。
ですから、セットアップがとても重要です。
- 問題点の洗い出しや反省の材料ではないこと
- 成長やより良い変化へのヒントや強みを発見するためのもの
であることを共有し、気軽に楽しんで取り組めるようにテストを紹介する必要があります。
扱い方は、事前にホームワークでしてもらうのもあり。1on1ミーティングで一緒に取り組むのもありです。
また、上司であるあなた自身も取り組み、その結果や感想を部下と共有するのもセットアップや話しやすい関係構築に効果的です。
ただその場合、話しすぎにくれぐれもご注意を! 1on1はあくまでも「相手のための時間」なのですから。
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