部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
「1on1」に使えるチェックテスト(5)フィードバックを自然にもらう
2020年07月23日
上司にとっては、対話の話題づくりに。
部下にとっては、自分を様々な視点で見つめ直す機会に。
そんなきっかけづくりに役立つオンラインチェックテストを、毎回違った切り口で2つずつ紹介していきます。
今回の切り口は、
「フィードバックを自然にもらう」です。
フィードバックをもらっていますか?
あなたはふだん、部下からどのくらいフィードバックをもらっていますか?
“コミュニケーションは、双方向(インタラクティブ)でこそ機能する”
“上司も部下から日常的にフィードバックをもらうことが必要”
などと言われます。
でも、「たしかにフィードバックをもらうことは重要」と頷きつつも、正直なところ、実行まではなかなか...というのが正直なところでないでしょうか。
フィードバックをもらう、というのは勇気がいるものです。
そして、それと同じくらい、フィードバックをもらう機会やきっかけをつくるのは難しいことではないでしょうか。
どんなタイミングで?
どんな声がけで?
何について?
何より、「唐突になんだろう?」と相手を驚かせはしないだろうか?
いろいろ考えているうちに、時間ばかりが過ぎていく。そんな時こそ、チェックテストが活用できます。
今回は、自然にフィードバックをもらうきっかけづくりに、ぜひ試してみて欲しいテストを2つ、ご紹介します。
「チーム」について共に考える
フィードバックをする・受けるようになるには、経験を通しての「慣れ」も必要です。
フィードバックはするのも受けるのも一種の緊張を伴います。
たとえば、いきなり、
「私についてフィードバックして欲しい」
「君についてフィードバックしていいかな?」
というのは、ちょっとハードルが高くありませんか?
まずは気軽に1歩を踏み出せる場づくりが重要です。
そこで試して欲しいのが、私たち、つまり「チーム」についてのフィードバックをすることです。そのとき、活用できるのがこちらです。
チームワークの現状についてフィードバックをもらう
Test.jp チームワーク(無料)これは、チームワークが発揮できているかを観察し、チームワークを向上させるヒントを探るチェックテスト。
よいチームの12の条件、たとえば、
「メンバー間に活発なコミュニケーションがみられる」
「重要な決定を下すための責任や権利は、チーム全体に与えられている」
「チームリーダーの指示がなくても、メンバーがお互いにサポートし合っている」
といった項目に「よくあてはまる」「だいたいあてはまる」「あまりあてはまらない」の3段階で答えていくと、チームワークの状況と合わせて「効果的なチーム運営のヒント」のTIPSを読むことができます。
「よいチームの12の条件」の項目、そして、「効果的なチーム運営のヒント」のTIPSを手がかりに、まずはチームの現状についてフィードバックをもらいます。
イメージは、キャンバスを前に二人で並んで話し合う、「コーチングのイメージ」です。
イラストレーション 若松織男
チームの現状、チームのちょっと先の未来像について、そして起こしたい変化について、今どう見えているか、思っているかを話し合います。その上で、リーダーであるあなたがチームの現状にどんな影響を与えているかをフィードバックしてもらいます。
個人に向けてのフィードバックの前に、チームという場・状況についてのフィードバックを行うことで、フィードバックの経験を積むとともに、フィードバックのハードルを下げるのです。
さらにもうワンポイント!
今回は、上司側がフィードバックをもらうという目的で紹介しましたが、合わせて、相手にも、「チームのメンバーとして自分自身がチームにどのような影響を与えていると思うか?どんな影響を与えられそうか?」を本人にも聞いてみると、1on1の取り組み・テーマとしてさらに有効です。
リーダーとしての強みは?期待されていることは?
「上司として、リーダーとして私はどうか?」と漠然とフィードバックを求められても、相手もなかなか答えにくいもの。そんなとき、視点や切り口の参考として、アセスメントを間におくと、話し合しやすくなります。
そこでおすすめしたいのがこちらです。
Test.jp リーダーとしてのコミュニケーション能力(無料)これは、
「会社の方針やポリシーを理解して、現場にわかりやすく伝える能力」
「メンバーと話す場面やタイミングを上手くつかむ能力」
「会議で、参加者に自由にアイデアや提案を出させる能力」
といった、人や組織を動かすリーダーに必要なコミュニケーション能力全20項目のチェックリスト。
あてはまるものにチェックをつけて、自分の現状を知るためのテストなのですが、今回は診断ではなく、項目をアセスメント代わりに使います。
ですが、ただ項目群をみせ、相手にチェックを依頼するというのでは上手くいきません。そうすると、相手があなたを採点・評価するような構造になるからです。そこで、次のようなセットアップのもと、フィードバックをもらいます。
スムーズにフィードバックをもらうための3つのステップ
ステップ1まず、リーダーとしての自分の成長ポイントやテーマ、また強みを明らかにするためにフィードバックを受けたい旨を伝える。このとき、合わせてリーダーとしての自分のゴールイメージ(どんなリーダーでありたいか、リーダーとしてどんな影響をできるようになりたいか)を伝えると、よりフィードバックの土壌ができあがります。
ステップ2次にチェックリストの項目を見せ、フィードバックをもらいます。
フィードバックのもらい方は、いくつかのバリエーションが考えられます。ステップ1でゴールイメージを伝えた場合は、「そのゴール達成に向けて、この項目から気づくことをフィードバックして欲しい」とある程度自由度を持って答えてもらうといいかもしれません。
他には、今できている(強み)の項目を1〜3個、今後期待する(課題)項目を1〜3個それぞれ挙げてもらう方式、また、自分がフィードバックを欲しい項目を指定してその内容についてフィードバックをもらう方式なども効果的です。
ステップ3フィードバックを受けるときは、まずは黙って聞きましょう。(もちろん、相手の真意や不明点を明確にするための質問はOKです。)中には反論や弁解したくなることもあるかもしれませんが、少なくとも今、その相手にそう伝わっていることは1つの事実なのです。まずは受け止め、フィードバックしてくれたことに感謝を伝えます。
ここで2つのテストに共通のワンポイント!
こちらのフィードバックについては、まずは通常の1on1の時間とは別に時間をもらって実施しましょう。1on1はあくまでも相手のための時間とすることが重要です。ただし、相手もリーダー候補である、もしくは互いにフィードバックし合うという設定の方が相手も取り組みやすいという場合はその限りではありません。
ちなみに、1on1とは別の時間で実施する場合も、実は1on1の効果アップにもつながります。なぜなら、人は相手にフィードバックをするとき、自然と自分についても考える機会を持ちます。また、この取り組みはフィードバックする・もらう文化づくりともなり、1on1や日常業務上にも効果は波及します。ただ、このとき、フィードバックの扱い方を間違うと逆効果。フィードバックについてはぜひ下記を参考にしてください。
コーチ型フィードバック第7回自分自身もフィードバックを受ける
いかがでしたか?
今回ご紹介したテストが、対話と、成長・飛躍のきっかけとなりますように。
ここがポイント!
自分一人でなら気軽に楽しめる「チェックテスト」も、上司と一緒に扱う、上司に結果を見せるとなると、ちょっと構えてしまうことも。そこにあるのは、「評価される」という感覚や、「ダメなやつとは思われたくない」、反対に「自惚れていると思われたくない」といった気持ち。
ですから、セットアップがとても重要です。
- 問題点の洗い出しや反省の材料ではないこと
- 成長やより良い変化へのヒントや強みを発見するためのもの
であることを共有し、気軽に楽しんで取り組めるようにテストを紹介する必要があります。
扱い方は、事前にホームワークでしてもらうのもあり。1on1ミーティングで一緒に取り組むのもありです。
また、上司であるあなた自身も取り組み、その結果や感想を部下と共有するのもセットアップや話しやすい関係構築に効果的です。
ただその場合、話すぎにくれぐれもご注意を! 1on1はあくまでも「相手のための時間」なのですから。
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