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マネジメントの『行動』を見つける
コピーしました コピーに失敗しましたKさんは、現在セールスプロモーションの企画、コンサルティングを行う会社を経営しています。
15年前、25歳の時に主婦業の傍らとしてデータ入力を請け負う仕事を個人創業しました。
当時はまだ珍しかったSOHOという形態をうまく組み込み、3年後にはスタッフが16人、SOHOでデータ入力を行う登録者が100人を超えるまでにビジネスを拡大しました。
順風満帆だった事業に、ある事件が起こりました。
それは彼女にとってまさに青天の霹靂でした。
半年の間に、16人のスタッフ全員が会社を辞めてしまったのです。
そのころのKさんは典型的なボスマネジメントでした。
よく口に出していた言葉は、
「がんがん仕事しなさい」
「たるんでる」
「根性が入ってない」
「私の言うとおりにやりなさい」
周りからの評価は「社長はいつも怒っている」。
Kさんは、何とか自分のやり方を変えたいと思って、猛勉強を始めます。
書籍はもちろん、マネジメントに関する研修やセミナーに数え切れないほど参加しました。
ある研修で、「責める、批判する、文句を言う、がみがみ言う、罰する、脅す、褒美でつる」ことをやめれば、1週間でいい人間関係をつくることができるという話を聞き、早速実践しました。確かに雰囲気はいい感じになりました。
ところが、それをやめたら代わりにどうやって部下とコミュニケーションをとればいいのかがわからない。
Kさんは次のステップとして、自分がよりよいマネジメントをする為に何をするかという「行動」を明確にする必要がありました。
Kさんは、その後もさまざまな研修に参加するたびに、講師に何をすればいいのか教えて欲しいと尋ねました。
その質問に対して、誰に聞いても返ってくる答えは同じでした。
「Kさん、テクニックじゃないんですよ」
Kさんは、1999年の11月からコーチングを学び始めました。
学び始めてすぐ、今まで自分が求めていたものが「コーチング・スキル」の中にあるかもしれないと感じました。
Kさんは、「こうしろ、ああしろ」と言う代わりに「どうしたらいいと思う?」という質問をする。返ってきた答えには「だめ」と言う代わりに「素晴らしい」という承認をする。
この二つだけを意識し、部下の話を「聞く」ことから始めたのです。
まず最初に職場の雰囲気が変わりました。
ぴりぴりした感じが無くなり徐々にお互いを認め合うようになりました。
Kさん自身も、今までは許せないと思っていたことが、「違い」として受け入れられるようになっていきました。
Kさんが、自身のマネジメントにコーチングを導入した翌年、会社の経常利益は前年比の4倍となり、業績を回復するきっかけとなったのです。
「マネジメントの理屈はわかるが、実際にどうしたらいいのかがわからない」
Kさんは、その答えを求めて、それまでにベンツが買えるほどの額を研修費に投資したといいます。
そして、Kさんはコーチングを学ぶ中で、実際に行うことのできる「行動」を見つけたのです。
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先日、Kさんがコーチ・トレーニング・プログラム(以下、CTP、現在のコーチ・エィ アカデミア)参加者を対象としたコーチング研修トレーナーコースに参加されたのですが、そのとき久しぶりにKさんにお会いしました。
私がKさんに初めてお会いしたのは、2000年の春でした。
きりっとしたスーツ姿で、まさにバリバリの女社長! という雰囲気がまわりに漂い、少し近づきがたい印象を受けたのをよく覚えています。
久しぶりにお会いするKさんの表情は温和で、以前の人を寄せつけないような雰囲気がまったくなくなっていました。
また、もともと小柄で華奢な方なのですが、10歳ぐらい若返ったような印象を受けました。
そのことをKさんに伝えると、「最近は周りの人からも、若くなったとか、かわいくなったとかよく言われるのよ」と嬉しそうに話してくれました。
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