Coach's VIEW

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目標とビジョン

目標を持つことや、ビジョンを持つことが
いかに大切なことであるかについては、誰でも理解しています。
だからといって、未来に向けて明確な目標やビジョンを持っている人は稀です。
それが会社の経営者であっても、例外ではありません。

ある経営者とのコーチング・セッションのときです。

「伊藤さん、今年は前年度比150%の伸びでしたよ」と経営者のクライアント。
「それは、すごいですね」と私。
「はい、とても順調です」
「ところで、それは予定していて150%伸びたんですか?
「それとも、結果としてそうなったんですか?」

すると、その経営者は一瞬言葉につまり、
しばらくの沈黙の後に言いました。

「結果としてそうなったんですね」
「偶然ですか?」
「たぶんにそういうところはありますね」

それが良い結果であっても、そうでない結果であっても、
偶然は、会社経営に自信をもたらしません。
また、健全な視点ももたらしません。
経営からは偶然を減らす努力が必要です。

経営から偶然を減らすための条件、
その一つは、ビジョンをもち、目標を立てることにあります。
では、なぜ、それをわかっていながら、
ビジョンや目標を設定をしないのでしょうか?

あるとき、プロゴルファーにゴルフのレッスンを受けて、
とても興味深いことを聞きました。

「ゴルフで大事なのは、イメージなんです。」
「よく聞きますね」
「スイングのイメージ、ボールを目的に向けて運ぶイメージが毎回必要なんです」
「毎回ですか」
「そうなんです」
「毎回スイングのイメージがいるんですか?」
「ええ、必要です。なぜならイメージは記憶できないから、
毎回ショットの前に創る必要があるんです。」

私はそのときに初めて、イメージは記憶できないものであることを知りました。
そして、振り返ってみればまったくその通りだったのです。

たとえビジョンを創っても、
一回限りでは、それがどんなに鮮明ですばらしいものであったとしても、
次の日にはその大半を忘れてしまうということです。

次の日にまたビジョンを再現させ、
より細部にわたってビジョンを構築する。
そのまた次の日もビジョンを描き、より鮮明にする。
やがて、象徴的な言葉やヒントで、そのビジョンを
すぐに呼び出せるようになるまでビジョンを創り続ける必要があるということです。

それはちょうど、コンピューターのデスクトップに「アイコン」を置き、
それをクリックすれば、いつでもほしい情報を引き出せるようにするのと同じです。
そのためには、ビジョンを常に創り続ける必要があります。

ビジョンがどれだけ力を持つかについては、誰でも薄々理解しています。
しかし、それを体感している人は稀です。

ビジョンには力があります。
例えば、私たちはときどき、過去の不快な記憶に苛まれることがあります。
そのときのことを思い出すだけで、
怒りや、失望に取り込まれてしまうことがあります。
そういう場合は大抵無意識に、そのビジョンの「アイコン」をクリックして、
過去の記憶(ビジョン)を呼び起こしてしまったわけです。

人間の心と身体はつながっていますから、
思うこと(ビジョン)の影響を受けます。
たまたま、不快なビジョンを呼び起こせば、その影響を受けます。
当然、肯定的なビジョンを持つことができれば、その影響を受けます。

ビジョンを効果的に用いるためには、
一回限りではなく、ビジョンの創造を継続する必要があります。
また、自分が本当に実現したいと欲すること、可能性が広がるもの
そのビジョンを思い浮かべると、わくわくするようなものが好ましい。

そして、ビジョンを創造するためには、たった一人で創るのではなく、
会話を交わしながら、創ることで、より具体的で、鮮明なビジョンになります。

私はコーチングの中で何度も「ビジョン」について質問します。

「3年後、今と一番大きく違うところは何だと思いますか」
「自分との関係はどうなっていますか?」
「今やっていることへの興味の度合いはそれぞれどのくらいですか?」
「そのときには、健康のためにどんなことをしていますか?」

こうして、さまざまな角度から質問をします。

最初はメールで課題を出し、それに書き込んでもらい、
次のコーチングセッションでもっと具体的にし、
また、宿題を出し、コーチングセッションで話し合います。

ちょうどキャンパスに絵を描くように、
ビジョンをどんどんハッキリさせていきます。
ときどきは、その中の一つに「スポット」を当ててより具体的にします。

3年後、5年後のビジョンがハッキリしてくると、今の行動に変化が起こります。
3年後、5年後の自分からみるという「視点」が生じるのですから、
今取っている行動は、そのビジョンにつながるかどうか、という判断が働きます。

また、誰かの価値基準ではなく、
自分の価値基準というものも同時に創られますから、
自信をもって判断することができるようになるでしょう。

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