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出会ったその場で関係を作る

私が大学時代、一番仲の良かったのがM君でした。
入学式当日、ラグビー同好会への入会の勧誘を受けた私は、
3年生に連れられて、喫茶店に行きました。
そこに先に別の3年生に連れられて来ていたのが、M君でした。
白い、編込みの入った靴をかかとをつぶして履き、
タブタブのジーパンに、紫色の裏地が付いた白いジャンパー。
頭はほとんどパンチパーマです。
ほんとにK大生?と疑いたくなるようないでたちでした。

そのM君が私を見るなり、
「おう、お前どこの出身?」
同級生とはいえ、いきなり「お前」と言われ、少し戸惑いながら
「し、静岡だけど。。」
と答えると、
「俺は愛知、豊橋。知ってる?近いじゃん。よろしくな!」
いきなり握手を求められ、力強く手を握られました。
その頃、人と仲良くなるときは、まずは2メートルを1メートル半に、次に1メートルに、
そして何回か会ったところで50センチまで、そんな風に思っていた気がします。
それが常識だと。
M君はそんな私の常識を一気に崩しました。
いきなり30センチに入ることが可能なんだと教えてくれました。
それはとても新鮮な驚きでした。

その日、私は同好会への入会を決めました。
それは、3年生の勧誘がうまかったからでも、その同好会が強かったからでもなく、
M君という人間に魅力を感じたからでした。

それからの4年間、何度も何度もM君がいきなり30センチに入るのを目撃しました。
一緒にレストランに行けば、水を運んできたウェイトレスをしっかり見ながら
「サンキュー!」
誰でもウェイトレスに軽く会釈ぐらいはするでしょうが、
いちいち向こうの顔をしっかり見て、
「サンキュー!」とはなかなか言わない、いや言えないと思います。
彼はそれをいとも簡単に、当たり前のようにやってしまう。
その「サンキュー!」をきっかけにウェイトレスやウェイターと
話しが弾んでしまうということもよくありました。

M君に自分の友人を紹介すれば、かつて彼が私にしたように、
いきなり「ため口」で話しを始めてしまう。
「オッス!俺はM。よろしくな!」
そして私の友人達はたとえM君と一回会っただけであっても、しばらくしてから
「M君って元気にしてる?」
とM君のその後の様子を聞きたがるのです。

どのくらいの時間をかけて他人と関係を作るかについては、
実は誰かが目の前に来る前に、ほとんどの人は内側で決めてしまっています。
儀式を踏んでゆっくりと、と思っている人もいれば、
出会った瞬間に一気にと決めている人もいます。
コーチは決められた契約期間の中で一定の成果を出さなければいけませんから、
クライアントとの関係づくりはもちろん早ければ早いほど良いわけです。
私も頭の中ではM君のようなスピードでと思っていますが、まだまだあれ程早くはできません。

みなさんは、どのくらいのスピードで他人と関係を作ると決めていますか?

ちなみに、M君は大学を卒業した後、某大手商社に入社しました。
最近はなかなか会う機会がないのですが、
先日風の便りに、同期でトップをきって課長に昇進したと聞きました。

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