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先週行われたゴルフのマスターズ・トーナメントで、フィル・ミケルソンがメジャー初優勝を飾りました。

ミケルソンは米プロゴルフツアーで22回も優勝しています。

ところが、メジャー(最も権威のある4つの大会、マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロ選手権)では46戦して2位が3回、3位が5回。マスターズではここ3年連続3位で、無冠の帝王と呼ばれていました。

最終日は6アンダーの首位でスタートしたのですが、3番で1メートルの短いパーパットを外してボギー。6番もボギーで通算4アンダーとなりここで首位から陥落。

誰しも「またか......」と思ったはずです。

ところが、今年は違いました。

私は、生中継を見る機会にめぐまれたのですが、プレーをしているミケルソンの表情が、なんともうれしそうなのです。

それは逆転されてからも変わりませんでした。もちろん緊張はしているでしょうし、プレッシャーもかかっていて当然だと思います。しかし、ピンチになっても笑顔が絶えず、なんともいい表情なのです。

ミケルソンは今年に入ってからゴルフに対する考え方が変わったといいます。

そのきっかけは、『オールドルーキー』という映画を見たことでした。
高校教師が大リーグに挑戦し35歳で史上最年長のルーキーとして
デビューを果たすというストーリーです。

その映画のワンシーンに、「野球がやれることだけで幸せだ」というフレーズがあるのですが、ミケルソンはその映画を見終わった後、涙が止まらなくて席をしばらくの間立てなかったといいます。

ミケルソンは、ラストの7ホールでバーディを5つとるという驚異的な追い上げを見せました。最終ホールでは、難しい3メートルのバーディーパットを沈めて、見事な逆転優勝を果たしました。

最もプレッシャーがかかるそのパットに向かう瞬間でさえも、ミケルソンの表情は楽しそうで、喜びに満ちていました。

優勝インタビューで、ミケルソンは次のように話していました。

「皆さんは、レジャーとして時々ゴルフをする。私は大好きなゴルフを、しかも仕事として毎日プレーすることができる。今の私はゴルフをプレーしているだけで本当に幸せなのです」

きっと、ミケルソンは、自分がプロゴルファーであることをもう一度選びなおしたのだと思います。

早朝のテレビに写っているミケルソンを見ていて、私は少しめがしらが熱くなるのを感じていました。

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