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質問を創る
2004年06月16日
コーチングの基本は、いい質問を創りだすことにあります。
そのことに対する理解はだいぶ深まってきたように感じますが、未だに「その場になるといい質問が思い浮かばない」という声を聞きます。
しかし、質問は、何気なく自然に思い浮かぶものではありません。質問は、目的に応じて創るものであり、思い浮かぶものではないのです。
コーチの質問は、単に自分の興味を満たすためだけの質問でもなければ、相手を困らせるために質問するわけでもありません。
コーチが質問をするには、目的があります。
リソースを見つけるために。
モデルを見つけるために。
物事をはっきりさせるために。
未来をビジュアライズするために。
これらの目的をもって質問を創りだすのです。
コーチは常に質問を創りだすためのトレーニングを積む必要があります。
それは企業のマネージャー、経営者も同じです。今の会社の状況を明らかにするために、リスクを予測するために、社員一人一人のタイプや強みを知るために、質問を創るトレーニングをする必要があります。
たとえば、球技の場において、いいコーチは「ボールをよく見て」とは言いません。「ボールの回転は右回転? それとも、左回転?」と聞きます。どんなに目をこらしてもボールの回転が見えるとは思えませんが、それでも、そう言われると、最低ボールは見るようになります。
効果的な質問を創りだすことができれば、それによって視点を変え、行動を促し、行動を変える機会を相手に提供することができます。そのためにも、いい質問を創りだすトレーニングが必要です。
よく「相手の身になって考えろ」という言葉を聞きますが、それを具体的にイメージしたり、行動に変えるためには、どんな質問が考えられるでしょうか?
会議などであまり発言しないスタッフが、自分から発言するようにするためにはどんな質問が有効なのでしょうか?
私たちが日常ぶつかる障害を取り除くために、どんな質問が効果的でしょうか?
自己認識を深めるためには、どんな質問を自分に向けてしたらいいのでしょうか?
効果的で、いい質問を創りだすためにどんなトレーニングが効果的でしょうか?
質問と何を組み合わせたら、より自発的で自律的な人材の育成に成功するでしょうか?
問題が問題なのは、何が問題かがはっきりしていないことにあります。だとしたら、問題をはっきりさせるためには、どんな質問が有効なのでしょうか?
もうすでにわかっている、知っていると思っていることでも、再度質問をすることでよく知らなかったことに気づくことがよくあります。効果的でいい質問がなされれば、視点が変わり、自発的な行動が触発されます。タイミングよく、質問を繰り出すためには、普段から質問を創る練習が必要です。
質問が大事だという話は聞きますが、具体的にいい質問を創るためのトレーニングやメソッドに出会ったことがありません。質問が大事だといいながら、実際に質問を創るためのあり方やスキルがないのだと思います。
できれば、自分が試されているわけではなく、正しい答えを要求されているのでもなく、詰問されているのでもない、安心して答えられる質問を投げかけられたい。そうしたら、きっと、答えることにわくわくします。
いい質問を創るための第一歩は、効果的な質問を受ける体験をもつことではないかと思います。
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