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花を咲かせる
コピーしました コピーに失敗しました私はお酒が大好きで、20才を過ぎて父親と晩酌をするようになってからこの歳までの20数年間、殆ど毎日お酒を飲んでいます。
10年ほど前から、定期的に人間ドックに行くようになりました。そのたびにお医者さんから言われることは決まっています。
「太りすぎ、脂肪肝、血圧高め」
「体重を落としなさい」
「休肝日をもうけなさい」
その場では神妙に、はいはい、わかりました、とは答えます。内心は今のままではまずいとはわかっているのですが、かといってダイエットするとか、禁酒するとかいうように実際の行動に移したことはありませんでした。
昨年末の人間ドックでも血圧が高いことを指摘され、看護師さんから詳しい説明を受けました。看護師さんは50歳半ばぐらいのきびきびした女性です。私は机と椅子ふたつがやっと入るくらいの小さな個室に通されました。
「毎日日本酒を2合、10年間飲み続けると、血圧が上昇することは医学的に証明されています。もしこのまま飲み続けると高血圧の治療が必要になるのは確実だし、脳溢血や心筋梗塞などのリスクも高まります。体重を落として、お酒は減らしましょう」
ふんふんそうですか、わかってます。私は心の中で思いました。そのセリフは毎回言われてますから。
看護師さんは一息ついて、それまで下を向いて話していた顔を上げて、今度は私の目を見ながら、ぐっとこちらに迫ってくるようなトーンで話しはじめました。
「桜井さん、これからじゃないですか。いままでも十分活躍してきたとおもうけれど、40歳後半から50代。仕事がおもしろくなって本当に活躍するのはこれからですよ。やりがいはこれからですよ。いままでは種まき。やっとこれから桜井さんにとって本当の花が咲いて実になるんじゃないですか。これからが楽しいんですよ。だから最高の健康状態をつくって、毎日気分よく働かなきゃ!」
今まで、お医者さんや看護師さんから、このまま行くといかにひどい目にあうか、という話は嫌というほど聞きましたが、楽しい未来について言われたのは初めてのことだったと思います。
多少お説教じみて聞こえはしましたが、看護師さんとの短いやりとりの間に、いきいきと楽しそうに人生を過ごしている自分自身の映像が目の前にパーッと広がりました。
そのビジョンは、私の行動を確実に変えました。
今年に入ってから、体重と血圧のコントロールに励んでいます。やっていることは、起床時、就寝時に体重と血圧を計って記録すること。そして、20年以上続けていた晩酌をやめました。体重は1ヶ月で約4キロ、血圧は5~10mhg近く下がってきています。
どうも、私にとっての行動の源は、ネガティブな脅迫ではなく、明るいビジョンの広がりにあるようです。
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