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コーチは言葉のプロフェッショナル
コピーしました コピーに失敗しました今から8年前、アメリカのコーチ養成講座のテキストの翻訳に携わったとき、圧倒されたものがあります。それは、「コーチング用語辞典(人生をより豊かにするための言葉集)」というものでした。
そこには、約350種類もの言葉の使い分けのリストがあり、例えば、「達成vs.結果」。達成は自分が生み出したことの結果。結果は単に行ったことの顛末。
「マネジメントするvs.コントロールする」。マネジメントの対象は人の行動や資質です。コントロールの対象は相手そのものです。
というように、似た言葉の使い分け方についての記述が、59ページも続き、驚いたものです。
その年の12月にアメリカで行われたコーチ養成のプログラムに参加したとき、初めてプロのコーチと組んでコーチングを行う演習がありました。彼女と組んだときも、その言葉づかいの適切さに関心しました。
「あなたは困っているというけど、それは、解決する方法を知らなくて、それを探しているのか、知っていてそれを実行することができないのか、どっち?」
日本に特有の「気持ちでなんとなく通じる」というのに妥協せず、会話を通じて明確にさせる。「コーチは言葉のプロフェッショナルなんだなぁ」と実感したのを覚えています。
さて、アメリカでは、いまだにコーチとセラピストとの違いは何か、という議論があります。先月国際コーチング連盟から、「コーチの仕事は、医療ではなくビジネスであることを理解してもらうために、次の言葉を使いましょう」というガイドラインが発表されました。
1.コーチの仕事を説明するときは、次のような言い方をすること
× コーチは、あなたを援助、サポートする
○ コーチは、自己成長を促すための行動プランを共に作り出す
2.コーチングの成果について
× コーチングを受けると、充実した人生を送れるようになる
○ コーチングを受けることにより前進し実際に行動できるようになる
3.コーチが使う言葉と、セラピストが使う言葉の違いを意識する
〔セラピスト〕
表面化させる
治療する
直面
調整する
援助する
分析する
問題を解決
〔コーチ〕
集中する
優先順位をつける
リクエスト
学ぶ
完了する
責任を持つ
選択する
可能性
コーチングについての理解を深めるために、「使う言葉」という切り口を使うのは、多言語のアメリカらしいところですが、非常に具体的で、すぐにでも活用できるという面では、とても参考になります。
コーチとして活動する上において、言語化することは非常に重要なプロセスだと思います。
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