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課題にはまるか、コンピを上げるか

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成果を上げるには2つの方法があります。

その課題の中にいきなり入り込んで解決を図るか、それともその課題を解決するためのコンピテンシー(簡単に言えば必要能力ですね)をまず身につけようとするか。

例えば「部下があまり業務改善の提案をしてくれない」という課題があるとします。

どんな手を打てば部下は提案をしてくれるだろうかと考えるのが、前者のスタンスです。一方、自分がどんなスキルや知識が身につければ、つまり自分がどのようにパワーアップすれば、部下の行動が変わるだろうかと見るのが後者のスタンスです。

どちらも必要なアプローチだとは思うのですが、採用されがちなのは前者のスタンスのようです。おそらくいち早く課題をクリアにしたいからですね。後者は遠回りに見えるようです。しかし、時には後者のアプローチを取る方がより早く成果を手にすることにつながる こともあります。いや、実はその方が多いかもしれません。

野球選手がシーズンオフのキャンプを経て、大ブレークすることがままあります。昨年、首位打者を取った広島の嶋選手などはその典型です。それまでは鳴かず飛ばずのバッターだったのが、いきなり「赤ゴジラ」と呼ばれ他球団に恐れられるまでのバッターに変貌する。その一方で、シーズン中にいきなりブレークする人というのは極めて稀です。悪いシーズンは、最後までずっと悪いシーズンのまま行ってしまうというのが多いようです。

少し前に、社会人野球で鳴らした友人がこう語ってくれました。
「シーズン中は、なんとか打ちたいと思うからね。スランプから抜け出すのはすごく難しいんだよ。目の前のピッチャーのボールどうやったら打てるかって考えちゃうからね。そこいくと、オフはいいわけよ。自分の足りないところを冷静に俯瞰するから」

エグゼクティブの頭の中はある意味でいつもシーズン中です。投げられたボールをどう打つかということに意識がいっていて、自分のどこを伸ばせばボールが打てるかという考えを持つことが実はなかなかできません。忙しいですし。

そこで、コーチの私はエグゼクティブに尋ねるわけです。
「課題に飛び込みたくなるのはわかります。が、今はエベレストのように見えるその課題が筑波山ぐらいに見えるようになるためには、まずどんな能力を身につける必要があると思いますか?」と。

先日、ある会社の社長さんのコーチングをスタートしました。年齢は80歳を超えられていますが、まだまだ現役です。1000人を超える社員の前で、毎週訓示を伝えられていると聞きます。

彼にどんなテーマでコーチングをするといいですかと尋ねたところ、次のように答えてくれました。

「社員に毎日楽しんで仕事をしてほしいと思ってるんです。それには、私がまず自分のことをもっと良く知らないといけないですね。どういう時にいらいらするのかとか、どういう時に調子がいいのかとか。少し怖いですが、自分発見をしたいと思いますよ」

優れたリーダーは幾つになっても、コンピテンシーを高めることに意識があるものだなと思った次第です。

みなさんは目の前の課題に飛び込みますか? それとも課題を乗り越える能力を身につけることをまず考えますか?

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