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あなたのラーニングスタイルは?
コピーしました コピーに失敗しましたアメリカにおける人材育成カンファレンスのうち、最も大きいといわれるASTD2005(※)が6月5日~9日までの5日間、フロリダ州オーランドで開催されました。
毎年参加するたびに新鮮な情報を手にいれることができるため、今年はブースを出展し、弊社で開発したコーチングやトレーニングを支援するコミュニケーション・ツールをアメリカに紹介してきました。
さて、今年の展示会の中で特に私の関心をひいたのは、ラーニングスタイル(学習スタイル)に関する研修プログラム、商品、システムの多さです。
今、アメリカでは、個人のラーニングスタイル、すなわち、物事を「学習するスタイル」が、研修の領域で重視されています。「物事を学ぶスタイルは人それぞれ違う」というスタンスのもと、個人が最も早く学習ができるような環境を作ることが重要だということなのです。
学習スタイルのブースで、てっぺんからバネ式の手が飛び出ている黄色のヘルメットをかぶっている出展者の男性と話をしました。
「それはいったい何?」
「僕はね、感覚、触覚系の学習スタイルを持っているんだ。これはそれを象徴するもの(ヘルメットをさす)。つまりね、何か身につけるときは、実際に自分で触ってみたり、やってみないと身につかないんだ」
と身振り手振りも大げさに話します。
「でもね、ここにいる僕のパートナーのメアリーは言語派。物事をじっくりと考えて、順序だてて物事を理解するんだよね。だから、仕事する時にはお互いに補足しあういい組み合わせなんだ」
隣には身じろぎせず、表情も固めなメアリーが静かに微笑んでいました。
「学習スタイルを把握するのは研修する上では大事なんだ。僕は体験的な実習から成果を得るけど、そうでないタイプには無意味になってしまう」
「じゃあ、違うタイプが入り混じっている場合はどうするんですか?」
「最初に学習スタイルのテストをやり、スタイル別に部屋を分けて違う方法で研修するんですよ」
研修がここまで個別対応で行われるのには驚きました。
他のブースでは、今度は簡単なテストを受け、その結果、私のスタイルのシールを貼ってくれました。一緒に行った同僚も奇しくも同じタイプ。
「あなたたちは創造性や感情が豊かなタイプ。非常にいいコンビで、きっと物事が進むのも早いでしょう。でも、チームワークを強化するには、論理性、実用性タイプの人を入れるいいわね」
と簡単なコンサルティングもしてくれました。
会場を見まわすと、黄色のヘルメットをかぶってる人、赤や黄色や緑のレイ(ハワイの首飾り)のようなもの首にかけている人、ネームカードにハートやら虹のシールを貼り付けている人も。これらはすべて、タイプを示したグッズを身につけているのです。
面白いことに、タイプ別の絵が描かれたマグカップも売っていました。実際に会議などに自分のマグカップを持ち寄り、議論が行き詰ったりすると「○○タイプからの視点で話を聞かせてもらえない?」というように使っているようです。
その人が受け取りやすい方法で提供し、タイプをうまく組み合わせることでパフォーマンスを上げる。ラーニング・スタイルに意識を向け、自分自身のタイプを知ること、そして、周りの人のタイプも知ることで能力をさらに引き出すことができる可能性を感じました。
あなたの学習スタイルをチェック!
※ASTDとはAmerican Society for Training & Developmentの略称です。
▼学習スタイルのテストはこちらから
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