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無限の組み合わせで学習する

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先月のWEEKLY COACHで、アメリカの人材育成のカンファレンスでの体験をお伝えしました。

自分の学習スタイルを明確にする学習支援ツールがいくつもあり、アメリカの研修の現場では、学習スタイル別に研修を行うと聞いて驚いたのですが、それ以降、自分はどんな学習スタイルを持っているのか、というのを模索するのが日常的なテーマになっています。

コーチ・トゥエンティワンで行っているコーチ・トレーニング・プログラム(以下CTP、現在のコーチ・エィ アカデミア)は、電話会議システムを通じて行うコーチ育成プログラムです。毎回20人がひとつの電話会議システムに集い、「クラスコーチ」という講師のリーディングのもと55分の授業で学んでいます。

電話会議ですから、たくさんの人と同時に話をすることができます。つまり、CTPのクラスは、耳で参加する会議のようなものです。

私はクラスコーチをやっていますが、毎回、脂汗がでるほど必死になります。まず、参加者の名前を聞いても覚えられない。発言されたことを理解し、覚えておくために血眼でメモを取る。でも、メモは後で読み返してもよくわからない。周りでちょっとでも音がすると気が散って動転する......など。

同じクラスコーチでも、メモひとつとらず、相手の発言を完璧にリピートすることができる人がいて、どうすれば自分がその領域に達するのだろうかと思っていました。

しかし、学習スタイルのテストをやってみて、自分の「聴覚」のスコアが著しく低いのを発見し、納得がいきました。耳から聞いた指示は覚えていないけどメールでもらったのは忘れない、など思い当たることがたくさんありました。

逆に私のスコアが高いのが「触覚系」。物事を学習する際に体験して身につける傾向がある、というのを知り、自分がとにかくやってみないと、後先がわからない、と思っていることが、ここから来ていることがわかりました。

周りの人たちにも学習スタイルについて聞くと、聴覚系の人は「一番自分が勉強できたのは、ラジオ英語会話を聴いたとき」であるとか(私にはありえない話!)、「試験勉強は語呂合わせで覚えるのが好きだった」(言語感覚系)、「ノートはとにかく図解して残していた」(視覚系)など、それぞれ得意なやり方が違っていて、それはその人の学習スタイルとマッチしていた、というのを知り驚いています。

一番面白いのは、それぞれのスタイルを「だから他の人もそうあるはずだ」と自動的に思い込んでいることでした。

ここに「Learning and teaching styles in Engineering Education(技術系の教育における学習と教育スタイル)*」という論文があります。そこにはこうあります。

「学生はいろんな方法で学びます。見る、聞く、反復する、理論的に理解する、暗記する、視覚化する、例えに置き換える、数学的モデルに置き換える、などを通じて......。教師はいろんな方法で教えます。講義で、ディスカッションで、論理を教えることで、応用を教えることで、暗記させることで、考えさせることで......。学生がいかに学べるかは、学生の潜在的な学習スタイルと教師のティーチングスタイルの組み合わせによって決定づけられる」

学び方と教え方の組み合わせで何通りもの学習方法があることを思うと、それだけでワクワクします。「学ぶ」ということの面白さを、50歳近くなって初めて知ることになったような想いです。

コーチも「その人特有の学習のスタイル」を見つけることから始めてみることなのだと実感しています。

* Learning and Teaching Styles in Engineering Education Richard M. Felder, Linda K. Silverman (1988)

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