Coach's VIEW

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コーチは努力させない

「努力が足りない」という言葉は、
「お前は人としての価値に乏しい」という意味と
イコールなのかもしれません。

何か事を成すことができないのは、努力が足りないから、
または、怠けているからということになるのでしょうか。

親や先生、上司やコーチの仕事は、
子どもや部下に努力させることではありません。
彼らを観察していて、彼らのできていることに目を向ける。
そして、できていることが、どこへ向かっているのか、
どこから来ているのかについて話します。

要するに、できていることを話題にするのです。

得意や強みに特にこだわる必要もありません。
今できていることを「話題」にする。
そして、彼らがもっとうまくやってみようという気になるのを待つ。
やがて、少しでも違いを生み出したら、また、それを「話題」にする。

話題にすることによって、
それまで何気なくやっていたことを意識するようになります。

私の現在のコーチは、以前はローイング(ボート)のコーチでした。
カナダのオリンピックチームをコーチしていた経験があります。
彼が、金メダルをとる選手と銀メダルをとる選手の違いについて
話してくれたことがあります。

「金メダルをとる選手は、コーチに言われるまでもなく、
 毎日確実に練習メニューをこなします。
 だからといって、決して練習をしすぎてしまうこともない。
 彼らは、自分のペースで目標に向けて、確実に練習をこなすのです。
 一方、銀メダルになる選手は、コーチから見ると、
 ちょっと練習が足りないと思うときがある。
 また、逆に練習しすぎて疲れてしまうこともあるのです」

「努力できない」と思う背景には、
自分には何もコントロールすることができないという思いがあります。

勉強、仕事、なんであれ、
少しでも自分の意志でコントロールできるようになると、
それは自信になり、より大きなチャレンジと努力につながります。

努力は、強要するのものではなく、
まず最初に、コントロールできるようにするのです。
その最初のステップは、
コントロールする対象を意識させることにあります。
意識することで、
コントロールできる部分が見つけやすくなるからです。

誰にでも、努力する能力はあります。
それを狭い範囲で限定してしまうのではなく、
努力する楽しさや、面白さを実感できるところへ運ぶのが、
コーチの仕事です。

その場合、本人は努力しているとは思わないのかもしれません。

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