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コーチング・カンバセーション

コーチング・カンバセーション | Hello, Coaching!
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私には、Kさんというコーチがいます。コーチングのテーマは「マネジメント」。

上司、部下、同僚からもらった360度フィードバックを元に、マネジメントスキルを高めるためのコーチングを受けています。

Kさんは、数多くのコーチングを行っているプロのコーチです。私自身もプロのコーチです。ですから、彼女とのコーチングセッションはお互いに「コーチングの実験の場」と捉え、クライアントの私は、Kさんのコーチングそのものについても、フィードバックしながら進めています。

「今の質問は、はずした。違う質問はない?」
「今の質問は趣旨はヒットしたけど、言い方が違う。違う聞き方をしてくれる?」
などと言いながら、コーチングを受けています。

このように自由にものを言わせてくれるのが、Kさんの素晴らしいところ。

Kさん「ええー、違った? じゃあ、次は何をしますか?」

私「うーん、話したいのは次に何をするかではなくて、私がどうしてそれを必要だと思うかの理由なのよね......。で、理由は......」

というように、ああだこうだといろんな方向に話が飛びながら会話を続けると、頭で 考えていることや、心で思っていることが整理され、腑に落ちたり、答えが見えてくることがあり、このコーチングの形態は、私にはすごくマッチしています。

最近、コーチングを初めて受ける方のコーチをする機会が増えています。セッションを始めて間もない頃に、話していてちょっとチグハグな感じがすることがあります。

先日、クライアントのMさんとのあいだでこんなやりとりがありました。

私「Mさん、私が質問する人、Mさんは答える人、と思っていないですか? コーチングは質疑応答ではなく、自由な会話のやりとり、なんです。あなたも話すし、私も話す。それをイメージして進めましょうよ」

Mさん「ほう、そうなんですかー。ちょっとコーチングのイメージが変わりましたね」

その会話の後、Mさんの声は明るくなり、お互いに少し体温が上がるようなワクワク感が生まれました。

コーチングで大切なのは「効果的な質問をすること」という考え方が浸透するにつれ、「コーチは質問する人、クライアントは答える人」の構造が無意識にできていると感じることがあります。

実際のところ、コーチングを始めたばかりの方から、「クライアントにどんな質問をしたらいいんだろう、と考えてしまうと、つまってしまいます」という話を聞くことがあります。また、コーチとクライアントの会話の割合について聞くと「クライアント9割、コーチ1割でなければならない」と思っているコーチもいます。

私がコーチのKさんと自由に会話が続けられるのと同じように、私がクライアントと、一方通行ではない、単なるおしゃべりでもない、双方向の会話「コーチング・カンバセーション」をいかに続けられるかが、目下の課題です。

*カンバセーション(会話・対話)の語源
 live with , keep company with
 (一緒に生きる、ともにいる)

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