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部下を知っていますか
2005年08月31日
人を評価するとき「好きか、嫌いか」で判断する場合が少なくありません。または「損か、得か」「敵か、味方か」。一度「好きか、嫌いか」のように二極化して結論を出してしまうと、それ以上に相手を知る必要がなくなってしまいます。
「だって、嫌いなんだから」。
私はつい最近、この言葉を十代の若者ではなく、五十代の会社経営者から聞きました。
さて、部下とうまく行かない上司、上司と馬が合わない部下、どんな組織にも、またどんなチームにも、対立の問題は起こっています。何度となく、この問題をテーマに話す機会がありました。そこで、対立している相手のどの部分が受け入れられないのかについて訊ねるのですが、理由はたいてい曖昧です。
その実、嫌っている相手について知っているかという質問に対しては、偏った答えしか返ってきません。もちろん通り一遍の趣味や、家族関係、職歴などについては知っています。また、仕事における能力については、それなりに理解しているようです。しかし、それ以上のこととなると、ほとんど気がついていないのです。
たとえば、未来に向けてどんなビジョンを持っているのか? どんな価値観をもっているのか? 強みは何か? 仕事にどんな意味を見出しているのか? チームに何を期待しているのか?
「部下について知っていますか?」と質問すると、上司は「知っている」と答えますが、実のところ、部下の性格分析や仕事の能力については話せても、部下が今どういう状態にいるのか、どんな助けを必要としているのか、何を学ぶ必要があるのか、といったことについて知っているケースは稀です。
「部下と話す時間を持ってください」と言うと、「何を話したらいいかわからない」という答えがよく返ってきます。しかし、部下について自分が知りたいと思っていることだけではなく、部下が上司に知っておいて欲しいと思うことについても、聞く必要があるでしょうし、それだけの価値があると思います。
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