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反応するのではなく、考える時間をもつ

反応するのではなく、考える時間をもつ | Hello, Coaching!
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11月5日(土)に日本コーチ協会の第7回年次大会「Coaching 2005」が開催されました。400人の参加者が集まり非常に熱気溢れる大会となりました。

この大会に合わせて、アメリカのトップコーチのひとり、デービッド・ゴールドスミス氏が来日しました。大会前のある日私たちはテーブルに並んで座り、ふたりで打ち合わせをしていました。

その時、デービッドから以前にもらったメールを確認したくて私がパソコンを開けると、彼はふとその画面を覗き込み、呆れたように言いました。

「何? 君の受信ボックスには、6400通も入ってるの?!!」
(You've got 6400 emails in your inbox?!!)

その顔には、「それでよく仕事しているね。君はコーチなの?」という台詞が書いてあるかのようでした。

私は慌ててこう言いました。
「もうね、メールの取り扱いにはほとほと困ってる。 デービッドはどうしてるの?」

誇らしげに彼は自分の受信ボックスを見せて言いました。
「ほら、今日は多い方で15通かな」

そして、私の横にグイっと近づき、私のパソコンの画面を指しながら、次々と教えてくれました。

「まず『10月1日以前』というボックスを作って、そこに古いメールを移動させよう」
「あ、たくさんのメールニュースを取ってるんだね。それは、『後で読む(Read and Review)』というボックスを作ってそこに移動」
「返事を書いたり、後でじっくり考えたりする必要のあるメールは、この場でタスクに変えること。僕はOutlookと連動させ、『このメールの返事はこの日時に書くこと』とスケジュールに入れるんだ」
と、慣れた手つきで彼のパソコン上で見せてくれました。

私は正直なところ、膨大なメールに振り回されている毎日なので、スケジュールとうまく連動させるやり方は、まるでマジックを見ているようでした。

彼はこう続けました。

「コーチは、このようにインテリジェント・ツールをうまく使えるようなヒントも持っているべきだね。多くのCEOやビジネスエクゼクティブは、たいてい大量のメールを受け取り、それに振り回されている。メールとうまく付き合うには、まずなによりも『自動受信』をやめること。入ってくるメールにリアルタイムに対応するのは愚か者がすること。仕事をしているような気になっても、実は反応してるだけで何も生み出していない。僕たちは戦略を立てたり、考えたりする時間が必要なんだ。僕の場合は朝1時間、夜1時間メール対応をしてるだけ。後は将来について熟考するために時間をとる。向こうからやってくる相手にただ反応しているだけでは、何も新しいことやワクワクするものは生み出せないでしょう?」

私が日々感じている焦燥感は、この「相手に反応していること」によるものだというのが実感として腑に落ちました。

その直後、私はメーラーの自動受信を解除しました。それだけで、頭が静かになるのを感じます。

「エクゼクティブは将来のこと、戦略のために時間を使うべき。コーチはそれができるよう、環境のセットアップのコーチングも必要だね」とデービッド。たった5分間のやりとりでしたが、その日以降、私の1日の中に考える時間が圧倒的に増えました。

コーチング・モーメント(コーチが起こる瞬間)は、デービッドが来日するたびに起こり、毎回成果の軌跡を残してくれます。

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