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私とコーチ

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私は、1996年からずっとコーチをつけています。もちろん今も、コーチがついています。今の私のコーチは、カナダ、トロント在住のダグ・クラーク氏です。年齢は70歳過ぎ。もともとはボートのコーチで、オリンピックの強化選手や大学の選抜選手をトレーニングしていました。現在は、トロントの銀行や金融に関する企業のエグゼクティブを中心にコーチをしています。

私は彼にコーチングを受け始めて、今年で3年目になります。しかし、3年経った今でも私たちのコーチングのテーマは、常にビジョンメイキングに戻ります。

「伊藤、3年後、5年後についてビジョンをもて。最初はそれがはっきりしなくても、自分の心に一枚の絵をもつんだ」

そのためにたくさんの宿題も出ます。彼からの宿題の量は半端ではなく、とても1週間でやりきれるようなものではありません。それに、どの質問も考え始めると時間がかかります。結局これまでは、それを億劫に思い、どこかに放り投げてきたのだと思います。

ビジョンを創るためには、ずいぶんと時間や労力が必要だと感じました。もしかしたら今の若者たちは、ビジョンをもつために充分な時間を取っていない、あるいは、それをリードするコーチに代わる人が、 いないのかもしれません。

ところで、私は宿題をやらないまま、コーチングセッションに入ることも、ときどきありました。

コーチングで大切なのはコーチングセッションだけではなく、セッションの間で取り組む宿題やアセスメント、課題図書を読むこと、 また、セッションの内容を実践してみる時間なのだと思います。 コーチングセッションから新しい視点や気づきを得るためにも、セッション間の取り組みはとても大事だと思います。日々のルーチン化した生活に、学習の時間を組み込むことが、 違いを創り出す源になります。

さて、ダグは3年経った今でも、「3年後のビジョンを話そう」と言います。もちろん現状の棚卸もします。しかし、すぐにビジョンのほうに話がいきます。

あるとき、私は彼に聞きました。
「ビジョンは、もう何回もつくったと思うんだけど」
「そうだね」
「それでもまたつくるの?」
「そうだ。なぜなら、3年後のビジョンをつくって1週間経ったら、そのビジョンは、2年と11ヶ月3週間後のビジョンになってしまう。だからつくり直さないといけない。 それに、ビジョンをもっとくっきりはっきりさせるんだ。 そして、そのビジョンをベースにして、そのビジョンを実現させたら、 次に何をするか、そして、そのビジョンを実現させたら、 いったい何が手に入るのか。それについても話したい」
「それはどうして?」
「オリンピックで金メダルをとった選手に、そうしてきた。彼らの中でビジョンがはっきりし、本当に手にしたいものがハッキリすると、彼らは自分から動き出し、そして、金メダルを取って当然というところへ行く。 また、そうした選手だけが金メダルをとった」
「そうなんだ」
「伊藤、君も金メダルをとれ。」
「え、金メダル?」
「そうだ!」
 
その瞬間、ビジョンはくっきりはっきり、明るく見えました。

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