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コーチングケーススタディ

今月私が担当しているコーチ・トレーニング・プログラム(CTP)の
スペシャルクラス、「ケーススタディ」の中で取り上げられた事例を、
ご本人のご了承のもとに、ご紹介したいと思います。
...【事例】...........................................................................
クライアントは、40歳の女性、婦人服の営業職。
新しい店長とうまが合わないことがきっかけで、
1対1のコーチングを受けはじめる。
1年半後の現在、店長とのコミュニケーションは飛躍的に改善され、
営業成績は全国の営業職600人中の300位から20位へと躍進。
昨年末、その店長の転勤の際に
「君と一緒に仕事ができたことは人生の宝」とまで言わしめた。
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このクライアントをコーチしたのは、群馬県在住のKさんです。
Kさんは、50代の男性。
2003年9月からCTPに参加しています。
現在は、学習塾を共同経営する傍ら、
プロのビジネスコーチとして活躍されています。
Kさんに、このコーチングのポイントをお聞きしました。
「コーチングをはじめた当初、30分のコーチングセッション中、
クライアントはずっと愚痴ばかり話していました。
変化があったのは3ヶ月目ぐらいからです。
まず、愚痴を言わなくなりました。」
きっかけは何だったのですか?
「彼女は、上司に対する不満から、会社を辞めて独立したい、
と言い続けていました。ところが、コーチングを続けていくと、
独立したいという気持ちは、単なる不満からではなく、
自分自身のもともとの価値観に基づくことがはっきりしていったのです。
そして、彼女は、2年後に独立をするという現実的な目標を決めました。
自分はもともと経営者になりたいと思っていた、と再認識したことが、
今の仕事に対する視点を大きく変えたのです。
そこからの彼女の行動の変化は目覚しいものでした。」
どのように行動が変化していったのですか?
「実は、その店長に代わってからお店自体の業績は少しずつ伸びていました。
うまが合わないとはいえ、自分が将来は経営者になるという視点で
店長を見れば、当然学べるところがあるわけです。
・業績主義を徹底させている
・ほんの少しでも数字があがれば声をかけてくれる
・従業員に対して公平である、など
学べることをリストアップすると、ノートがいっぱいになりました。
次に、彼女は、この一つひとつを部下から上司への承認として
店長に伝えていきました。
それが二人の関係を変えていくきっかけとなったのです。
彼女は自分が本当にしたいと思っていることに改めて気づきました。
それが、彼女の仕事への取り組みを全てにおいて変えました。
自分の人生は自分が選ぶという立場に大きく変わったのです。」
自己認識が高まることによって、行動の選択肢は広がります。
自分が何を思っているのか、何をしているのか。
自分のことを知れば知るほど、自分にできることが見えてくるのです。
今の自分のあるがままの姿をはっきりと見ることができれば、
次にとることができる選択肢は自ずと広がります。
コーチングは、クライアントの真の姿を映す鏡です。
鏡に映った自分自身を見て、そこに新たな可能性を発見する。
それが、コーチをつける意味なのだと思います。
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