Coach's VIEW

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みんなへではなく、あなたへ

 コーチ・トレーニング・プログラム(CTP)は、
 「電話会議システム」を使って行われます。

 一人の講師と20人の受講生が、同じ番号に電話をかけると、
 その電話で、全員がお互いに話せるシステムです。

 どうも、このイメージがつかみにくいようで、多くの方から
 「どんな感じなんですか?」、
 「電話で学ぶことなんて可能なんですか?」
 などの質問を受けます。

 私も、初めて、アメリカで
 トレーニングが電話会議で行われていると知ったとき、
 どういう仕組みなのかまったくわかりませんでした。

 そこで、初めてコーチングのトレーニングをしに来日した
 デービッド・ゴールドスミス氏とミーティングをしたときに
 質問ぜめにしました。

 「電話会議って何?」と。

 そして、実際に自分たちで体験するまでは、
 そのダイナミズムをなかなか理解することができませんでした。

 それほど新しいものだったのです。

 現在、CTPでは、毎月約130クラス(各1時間)が運営されていますが、
 その進行役を務めるのが、「クラスコーチ」と呼ばれる人たちです。
 20人の受講生に対して、電話で1時間進行するわけですから、
 かなり高いスキルが要求されます。

 このクラスコーチの中で、抜群のスキルを持っている人たちがいます。
 その人たちのクラスに参加すると

 ・自分(受講者)が貢献したと感じる
 ・新しい視点を発見する
 ・すぐに使えるヒントがある
 ・気づきがある
 ・楽しい

 という体験をします。

 逆にクラスコーチのスキルに課題があると

 ・押し付けられる感じがする
 ・退屈
 ・学びがない
 ・何がポイントなのかわからない

 ということを引き起こしてしまいます。
 同じ1時間でも雲泥の差です。

 この差はどこにあるのかと言うと、ずばり
 「グループコーチングになっているか」ということになります。

 グループコーチング vs. レクチャー

 グループコーチングになるにはどうすればいいかというと
 それは、「1対1の体験」をいかに引き起こすかということになります。

 1960年代から70年代にかけて、ラジオ界で絶大なる人気があった
 「レモンちゃん」こと落合恵子さん。
 若者が熱中したのは、深夜放送で何万人ものリスナーがいたにもかかわらず
 まるで「自分だけに語りかけられている」ような体験があったからと言われています。

 スキルのあるクラスコーチが実際に行っていることも、実はとてもシンプル。

 ・受講生の名前を呼ぶ。「○○さん、それよくわかります」
 ・一緒に笑う
 ・「先ほど、○○さんが言っていたように」と受講者の発言をすぐに取り入れる
 ・「みんな」ではなく、「あなた」という言葉を使う
 ・人が発言した後に必ずその人から伝わってきた特徴的なことを伝える。
  「○○さん、声に元気がありますね」

 この空気が作り出せるかどうかが、成功のカギです。

 一度この空気が作り出せると、クラスコーチが話すことは、
 「大勢の人に話している」ことから「私に話している」感覚につながり、
 結果として受講生の主体的な参加を促します。

 これは、グループコーチングのみでなく
 実は1対1のコーチングにおいても意外と難しい。
 相手が「パーソナル」な体験をもつことは、コーチングで大切な要素です。

 私もクラスコーチとしてクラスを運営していますが、
 「みんなではなく、あなた」を意識しているかを感じるようにしています。
 それが作り出せたとき、「私 対 みんな」ではなく、
 グループが一体となる感覚が生じます。

 このダイナミズムを体験できるのが、電話会議の魅力です。

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