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自分の成長に気づく
コピーしました コピーに失敗しました日曜日の午後、何の気なしにテレビをつけると、ラグビー中継をやっていました。
早稲田対トヨタ。試合終了まで目が釘付けになるほどの好ゲームでした。特に、ロスタイムに入ってからのトヨタの猛攻と、それを防いだ早稲田全員一丸となっての連続タックルは感動的でした。
それにしても、18年ぶりに学生が社会人を相手に勝利するという、最高のパフォーマンスを発揮させた清宮監督は、素晴らしいと思います。
コーチングの研修をしていると、部下のパフォーマンスを高めるためには、どのようなときに誉めて、どのようなときに叱ればいいのか、という質問をされることがあります。なかなか答えにくい質問です。
三菱総研の調査では、「おおむね誉めて育てたほうが部下のパフォーマンスはよいが、モチベーションの高い部下に対しては、時には厳しく叱る上司であるほうが、主体性やリーダーシップの高い部下が育つ。叱るというのは、感情的に怒るのではなく相手に気づかせる、というスタンスである。つまり、気づきがモチベーションを高める」というデータが発表されています。
確かにそうかもしれません。とはいえ、それはケースバイケースですから、そのときにはこうすればよい、というようには答えにくいわけなのです。
2年ほど前に、清宮さんとお会いしたことがあります。
清宮さんは、学生に対する指導方法について、「データに基づいて指導する」ということを力説されていました。
「選手にとっては、少しでもいいからできなかったことができるようになる、というのが大切なんですよ。チーム全体はもちろん、一人ひとりの詳しいデータをもっていれば、何が成長したかを実感できる。僕はほとんど誉めませんけど、データを見れば変化は一目瞭然ですから。実際に、みんなやる気になってますよ」
データに基づいて、選手自身がまだ気づいていないことを選手に知らせる。誉めるか叱るはケースバイケース、それよりも大切なのは、本人が自分の成長に気づくこと。客観的なデータは、もっとも効果的なフィードバックだというわけです。
さまざまな要素が複雑に絡み合うビジネス現場では、一人ひとりの詳細なデータを取るのは難しいかもしれません。それでも、マネージャーが部下に意識を向けて、今何に取り組んでいるのか、何について成長したのか、本人もまだ気づいていないような、その微細な変化をフィードバックしていくことができれば、部下のパフォーマンスはきっと上がるに違いありません。
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