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学びが起こるということ

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コーチ・トレーニング・プログラム(以下CTP、現在のコーチ・エィ アカデミア)が、電話会議を使って行われているのは以前にもご紹介しましたが、クラスそのものは55分。ひとりのクラスコーチ(進行役)を中心に、20人の参加者によって行われています。

この電話会議は、クラス開始時間に20人が同じ電話番号にかけると、同じところにつながり、みんながお互いに話すことができるという仕組みです。分かりやすくいえば、みんなが同じ部屋に入って、目隠しして話し合っている感じです。

私もクラスコーチをしていますが、クラスではお互いの姿が見えないため、いかに参加者に発言を促すかがポイントです。

クラスコーチが質問をしたり、指名することで参加者に話してもらうのですが、この質問を誤ると「シーン」とします。また、進行役があまり話すぎると、参加者の集中力が一気に散漫になります。

私は、この「シーン」「シラー」という雰囲気に弱く、声が聞こえなくなると、壁に向かっているような孤独な気分になります。

そんな中、先日終ったばかりのクラスは、私が経験したうちで「伝説に残る」すばらしいクラスでした。

とにかくみんなよく発言し、同じクラスメートの話を興味深く聞き、時には、積極的に質問する。お互いにとても関心をもっているのが伝わってきます。相手が見えず声だけの環境の中で、お互いが興味をもって関わっているというのは、かなりモチベーションが高い証拠といえるでしょう。

毎回同じような構成で進行しているのに、今回のグループでは、何か違う化学反応が起きている。これは一体なんだろうか? 常にそのことを考えていました。

そんな中、クラスの締めくくりのときに、「今日の55分で学んだことをひと言にしてまとめてください。ひとりずつ発表してもらいます」と伝え、全員から聞きました。

そのときに発表されたひと言で何よりも特徴的だったのは、それぞれが発表した言葉のほとんどが、自分の考えではなく、他のクラスメートが発した言葉からの引用だったことでした。

そのとき、何がこの20人を動かしているのかが見えた気がしました。

思い返してみると、このクラスの特徴は、「先週○○さんが言っていたことを私もしてみました」とか、「今日、△△さんから□□ついて聞けたのがよかった」など、他の人の発言についてのコメントが非常に多いことにありました。「私はあなたから学んだ」というメッセージが、クラスの中で飛び交っているのです。それを聞くことで、学びの機会を提供した側は自分が貢献している実感をもち、その喜びがまた発言を促進している。そのような連鎖反応が起こっていたのです。

それがなぜ起こったか。それはおそらく、参加者に「名前を呼ぶ」とか「お互いに質問する」という行動を促したのが、ひとつの要因だったのではないかと思います。

オーストラリアでトップコーチのひとりである、デービッド・ロック氏は著作の中でこう書いています。

『人は他人から教わるのはきらいだけど、他人から学ぶのは好き』

今回のクラスからも、「他人から学ぶのが好き」というキーワードを学びました。これを知っているだけで、今後、壁に向かって話しているような感覚はなくなるような気がしています。

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