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コミュニケーションの価値

コミュニケーションの価値 | Hello, Coaching!
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「いかに人を動かすか」というのは、古来から人間にとって大きなテーマです。そして、誰しも、そのためにはコミュニケーションが必要だということを知っています。

それにも関わらず、これまで多くの場合、人を動かすためのコミュニケーションとは、指示命令型で一方通行なコミュニケーションがほとんどでした。これは、ひとつには、私たちのコミュニケーションに対する誤解から生じているのだと思います。

コミュニケーションに対して、多くの人は次のように認識しています。

□ コミュニケーションは空気のようなもので、すでにわかりきっている
□ 組織において、コミュニケーションはソフトな問題で、優先順位が低い
□ コミュニケーションは個人の問題であり、組織の問題ではない
□ コミュニケーションと生産性は特に関係はない
□ コミュニケーションは組織のスピードを遅くする
□ コミュニケーションは組織を混乱させる。また、ときに、浪費を生じさせる
□ コミュニケーションよりは、規則、予測、費用対効果、効率、ハイパフォーマンス、モチベーション、確実な収益、投資の回収、プラン、役割、経験、スキル、リーダーシップ、これらが優先する

コミュニケーションのもつ本当の価値に多くの人は気づいていません。価値を見出していないにも関わらず、毎日の生活はコミュニケーションなしには成り立たないという矛盾の中で、 私たちは仕事をし、生活をしているのです。

コミュニケーションの価値を理解していない二人が、コミュニケーションを交わしても、なかなか実を結びません。しかし、コミュニケーションがどんな価値をもたらすかを理解した二人がコミュニケーションを交わせば、それは本当に創造的なものになります。

コミュニケーションとはこういうものだ、こういうルールがある、といった定義は、いまだ、実ははっきりしているわけではありません。しかし、コミュニケーションを交わす二人の間で、最低いくつかのルールが守られているだけで、そのコミュニケーションは飛躍的に変わります。

たとえば、コミュニケーションのルールとは次のようなものです。

□ 相手が話しているときには、口を挟まない
□ 相手の言っていることを理解する。それは相手の言っていることが正しいと認めることとは違う
□ 自分の考えを相手に理解してもらう、 不安なときには、その瞬間に自分から相手に確認する
□ 自分の考え(My View)と相手の考え(Your View)があり、それは一致していなくてもかまわない
□ 相手の考えが自分にはどう伝わっているかを相手に伝える、自分の考えが相手にはどう伝わっているかを聞く

すなわち、コミュニケーションとは、K-1やプライドのような格闘技だと思っている人とコミュニケーションは交わせない、ということです。

もし、このようなルールを理解していない相手とコミュニケーションをとる必要が生じた場合には、まず、コミュニケーションについてお互いにどう思っているか、そのことについて話す時間をとることです。そのときも、相手にルールを押し付けるのではなく、お互いの間でのコミュニケーションによって、何が生み出されるかについて話すのです。


アメリカの心理学者であるハーレーン・アンダーソン氏は、コミュニケーションについて、次のように語っています。

「ダイアローグ(対話)を通じて、あるいは、そのなかで、意味や理解が持続的に、解釈、再解釈、明確化、改定されている。意味や理解に新しいものが生じたときには、思考、感情、気もち、行動などが新しく生まれる可能性がある。言い換えれば、変化することとは、ダイアローグの中での遺産なのである。ほんとうのダイアローグとは、創造以外の何物でもない」

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