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人は解釈の中で生きている
コピーしました コピーに失敗しました私たちは毎瞬毎瞬事実に直面し、その影響を受けています。何か出来事があれば、それに影響されるし、人に会えば、その人の影響を受けるわけです。
ところが、よくよく考えてみると、事実や出来事が直接私たちに影響しているわけではなさそうです。なぜなら、同じ旅行に行っても楽しいと思う人もいるし、つまらないと思う人もいるからです。
例えば、ディズニーランドは楽しいのか? 答えは、楽しい場所だと思っている人もいるし、疲れる場所だと思っている人もいる。つまり、ディズニーランドが私たちに直接影響しているわけではなくて、ディズニーランドをどのように捉え、どのように解釈しているか、それが私たちに影響しているということになります。
先日行った、ある企業の取締役であるAさんとのコーチングの一部です。
「桜井さん、どうも若手の営業マンのやる気がないんだよね。教育のシステムをつくらなければいけないと思っているんだ」
「どうしてやる気がないということがわかったんですか?」
Aさんは、少しの沈黙の後、
「桜井さん、そういわれてみると直接確かめたことは無いな。なんとなくそう思っていた」
「では、実際に確かめるためにはどうしたらよいですか?」
「現場に出て行って、直接会って話を聞いてみるのが一番だね」
Aさんは次のセッションまでに、実際に自ら現場に出向き、若手の営業マン数人と話しました。
「桜井さん、実際に話してみたら、確かにやる気の無いやつもいたけど、モチベーションの高いやつもいた。一番驚いたのは、7人と話して、一人ひとり全部思っていることが違うってことだ。直接話を聞いてみてよかったよ」
時に私たちは、事実そのものよりも、自分のしている捉え方や解釈の影響を強く受けているのかも知れません。もしかすると、毎日会っている同僚や部下に対しても、自分の仕事に対しても、自分の過去や未来に対しても。
コーチはクライアントがしている捉え方や解釈をはっきりさせ、クライアントの目を事実に向けさせます。つまり、視点を変えることがコーチの大切な仕事のひとつなのだと思います。
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