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コーチの舞台裏

コーチの舞台裏 | Hello, Coaching!
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「どんな質問をしたらいいかわからない」

これは、コーチングを学び始めたほとんどの人が行き着く課題です。

「コーチングでは、質問を通じて相手から引き出す」「コーチは効果的な質問をする」というセリフがよく使われています。しかし、あまり「質問、質問」と意識をし過ぎると、肝心の相手が話をしている間に、次に何を聞こうか考えていて、結果としてピントの外れた質問をしてしまうことがあります。

あるコーチのメンターをしていて、私がクライアント役をしたときのことです。こちらが話し終わると、毎回3秒くらい間がありました。

「あの~もしもし? 今、何をしているんですか?」
「平野さんが話していることを書いていました。次の質問は何にしようかと思って......」

質問「Question」の語源は、ラテン語の「quaerere」であり、そこから、「探求する」という意味をもつ「Ask, Seek」と、「事実を追求する」という意味の「Question」が派生しています。

"What is this ?"
"This is a pen."

というのは、私たちの頭の中にある質問の基本形のように思います。コーチングセッションで行う質問で陥りがちなのは、このタイプの質問です。

「あなたの価値観は何ですか?」
「あなたのゴールは何ですか?」

価値観を知るのに、直球で「価値観は何?」と聞かれれば、その人が日ごろ用意している答えしか出てきません。そこで、価値観を知るための質問による棚卸しが必要となるのであり、そのための準備がコーチ側には求められています。

昨年、アメリカの人材育成のカンファレンスに行った際、あまりにも多くのテストが出展されているのに驚きました。テストは「診断されるもの、結果を見るもの」と解釈されがちですが、実はテストで有益なのは、「質問に答えるプロセス」を提供することにあります。ありとあらゆる質問を投げかけられることで、自分では無意識に行っている行動パターンに意識を向けることができる。それに気づくことで、他の選択肢があることを発見する。これはまさに"quaerere"効果です。

先ほどの価値観の話に戻ると、「あなたのことを周りの人は何て言ってる?」「今の会社を選んだ動機は?」などと質問し、棚卸しするのが効果的であり、そのことについて意識を向け、話すことで、そこに反映されている自分の価値観に気づくことができるのです。

私の周りにいる有能なコーチは、コーチングセッションの際に、テストの一覧や質問100問など、たくさんのツールを用意しています。コーチングセッションの舞台裏では、これらを目の前に広げて、そこから適切なものを選び出して使っています。

棚卸しをする、そのことについてお互いに話す。このイメージをもつと、コーチングにおける質問に、より広がりが生じてくることと思います。

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