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遂行矛盾

 コーチとして相手を見るときに、大切な「軸」の一つは、
 相手が自責で物事を捉えているか、
 それとも他責で物事を捉えているかです。

 自責も他責も、その人が周りの環境に対して、
 どのようなスタンスを有しているかを表現しています。

 自責とは、環境がどうであれ、
 自分から環境に働きかけていこうという心の状態です。

 一方、他責とは、環境から「働きかけられる」のみで、
 自分では環境に影響を与えられないと半ば諦めてしまった心の状態です。

 コーチはいろいろとクライアントに質問をしていきますが、
 最終的には、「で、どうしますか?」と聞くわけです。
 つまり、あなたが環境に働きかけない限り何も変わりませんよ、と。
 自責で捉えない限り状況は好転しませんよ、と。

 さて、あなたは自責、他責どちらで物事を捉えているでしょうか?

 コーチングの研修で受講者の方にこの質問をすると、
 8割以上の人が自責で捉えていると手を挙げます。
 さすが管理職! 意識が高い、と思うわけですが、
 後で、その人たちからこんな意見を聞くことが多々あります。

 「部下が全く自責で捉えられなくて困っているんですよ。
  会議の発言を聞いていても、悪いのは全部周りで、
  自分は何一つ変える必要がないんですから。
  どうして自責で捉えられないんでしょうね。嫌になりますよ」

 そんなときはニコニコしながら、思わず聞いてしまいます。

 「ということは、その部下が自責で捉えられないことを、
  Aさん自身は自責ではなく、他責にしているんですね?
  つまり、Aさん自身には変えられないことだ、と」
 
 Aさんは一瞬、何を言われたのかわからないといった風に、
 キョトンとした顔になります。

 Aさんだけでなく、私たちが一般的にはまりやすいことです。

 「あの部下は他責でしょうがない」

 と言った瞬間に、部下の状態に対して他責になります。
 ちょうど、「廊下では大声出すな!」と言った瞬間に
 大声を出した当事者になるように。

 このように、ある一方を否定すると、自分にその否定自体が
 戻ってきてしまうことを「遂行矛盾」と呼びます。

 「なんでもっと売上げをあげられないんだ!」
 「どうしてもっと自分で考えて自発的に仕事ができないんだ!」
 「なんで会議でもっと積極的に発言をしないんだ!」

 こう言った瞬間に、その言葉はブーメランのように2006-07-19
 自分に戻ってきて「遂行矛盾」を引き起こすわけです。

 「売上げを上げさせることのできない上司」
 「部下の自発性を高められない上司」
 「積極的に発言させられない上司」

 一度「遂行矛盾」を自分がしてないか、
 チェックしてみるのもいいかもしれません。
 どのぐらい本当に自分次第で周りの環境を変えられると思っているか。

 □私は部下に影響を与えられると思っているか
 □私は上司に影響を与えられると思っているか
 □私は会社に影響を与えられると思っているか

 自分次第と思う度合いが高ければ高いほど、
 きっと人生は楽しいですから。

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