Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


コーチの今の状態が伝わる

 100歳以上の人(センテナリアン)を対象に
 インタビューをしたラジオプロデューサーが書いた本に、
 こんな話がありました。

 人間の脳には、大脳辺縁系という感情を司る部分があり、
 その回路は外側に向かって開かれている。
 つまり、周囲の人の感情は、大脳辺縁系を通じて
 自分の感情に影響を与えている。

 そして、周囲の人の大脳辺縁系と自分の大脳辺縁系が
 お互いに響きあい、共鳴し、感情を共有することを
 「大脳辺縁系共鳴」といいます。

 著者は、センテナリアンのインタビューを繰り返す中で、
 あるとき、不思議な安心感や幸福感を感じるという経験をします。

 それが何であるか、はじめは理解できなかったのですが、
 その体験の理由が知りたくなり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の
 トーマス・ルイス博士に会いに行きます。
 そこで、自分が体験した不思議な感覚について彼に話します。

 それは、安心感を感じる瞬間であると同時に、
 なにかコントロールを失うような、落ちていくような感じを味わう
 体験であったことを話すと、博士は、それがまさに
 「大脳辺緑系共鳴」が起こっている瞬間だったといいます。

 一緒にいて、話を聞きながら、その感情を共有する。
 相手をコントロールしようという気持ちを放棄したときに、
 こうした体験が起こるそうです。

 このような「大脳辺縁系共鳴」は、哺乳類動物だけに見られる、
 と博士はいいます。それは、相手の感情状態を察知する内なる能力です。

 伝わるのは、安心感や幸福感といったポジティブな感情だけではありません。
 怒りや不安といった感情ももちろん伝わります。
 つまり、不安な人の側にいると、不安は伝わり、
 幸せな人の側にいれば、幸せを体験することができます。

 犬が好きな人は、犬にはわかり、
 子どもの好きな人は、子どもには分かるわけです。

 私たちは、ストレスや不快な感情をできるだけ避けたいと思うものです。
 したがって、どんな人と一緒にいるかはとても大事なポイントになります。

 怒りっぽい人や、悲観的な人、不機嫌な人、こういう人の傍にいれば
 当然その影響を受けることになります。
 機嫌よく、穏やかで、のびのびしている人の傍にいれば、
 その影響を受けることができます。

 以心伝心は本当にあり、それは証明されつつあるわけです。

 こうしてみると、コーチはスキルや何を言うかも大切ですが、
 それ以上に、今どんな状態でいるかはもっと大切なのだとわかります。
 自分自身が快適な状態なのか、安心しているか、ゆとりはあるか、
 それらがクライアントに直接伝わってしまうのですから。

 コーチはモデルである必要があります。
 それは人間ですから、多少の波はありますが、コーチになるということは、
 それなりに自分の状態に責任を持とうとすることだと思います。

 コーチといると、または、コーチと話すとそれだけで、いい感じになる。
 もし、可能であればそれを目指したいと思います。

 また、マネジャーが仕事を楽しんでいて、部下のことを思っていてくれれば、
 部下はそういうマネジャーと一緒に仕事をしたいと思うものです。

 それには、説明はいりません。
 以心伝心。説明する前に伝わっているからです。

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

関連記事