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映像が見えるまで話をする

映像が見えるまで話をする | Hello, Coaching!
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先週末に、オーストラリアからひとりのコーチ、デービッド・ロック氏が来日しました。

彼は、「コーチングが脳にどのような作用を起こしているか」という興味深い研究をしています。

・コーチングで質問をするとどうして変容があるのか?
・なぜ未来について語るのがいいのか?
・そもそも、なぜコーチの存在が大事なのか?

彼は、"人はどのように学習するか"という前提を基に、その研究に取り組んでいます。

彼と話しているときに、「ビジュアライズする」ということに関する話になりました。

「実は、脳は原始時代からほとんど機能が変わっていない。まだ言葉や文字がない時代、私たちはどうやって物事を学んだかというと、モノを『見る』ことで学んできた。つまり、私たちにとって最も原始的な学ぶ手段は『見る』ということなんです。コーチングでは、相手の気づきを、すぐその場で、ビジョンにすることが大事。たとえ話や体験談が効果的なのも、話が見えやすくなるからです」

さて、コーチ・トゥエンティワン(コーチ・エィの前身)では、コーチのトレーニングプログラムを電話会議を使って行っています。いわゆる「クラス」には20人が参加するのですが、この進行役を務めるのが「クラスコーチ」と呼ばれる人たちです。
 
まだクラス運営に慣れないと、次のような現象が起こります。

・何を学ばせようとしているのかがわからない
・つまらない、退屈
・あいまいな話がずっと続いて、あいまいなまま終わってしまう

この最後の現象が最も致命的で、私はこれを「絵が見えない」と言っています。つまり、そこで話し合われていることが、映画を見るように、絵として共有できないと、なんだかよくわからない話になって終わってしまうからです。

クラスに限らず、コーチングのセッションも電話で行いますので、まったく同じことが言えます。そのときには、アンテナを立てながら、お互いに絵が見えるようになるまで質問をすることに意識を配っています。これは本当に不思議な体験で、ある段階にくると映像が見えるようになるのです。

このことは、コーチングやクラスに限らず、たとえば部下から報告を受けているときや、面談のときにも体験できます。相手の話から絵が伝わってこないときは、見えるようになるまで質問をすると、次第にくっきりと見えるようになります。そのときに、相手の中にそのことが体験として刻まれるのです。

あともうひとつ、デービッドはヒントをくれました。

「気づいたことを文字にして書く。すると体験は強化される」

人は絵として見たとおりにマネをする。

どんな絵を描くのか、どのように映像化するのか。自分はどんな映像を心の中に描いているのかについて、私は自分のコーチとあらためて取り組んでみたいと思っています。

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