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コーチはコミットメントを要求する
コピーしました コピーに失敗しました私が最初にコーチをつけたのは、1997年。そのときは、私自身も、コーチも、お互いに初めてコーチングに触れる機会であり、ある意味では実験的なコーチングでしたが、それはとても刺激的で、たくさんの成果を得るものでした。
そのとき、「コーチの存在は物事の進捗を促進させる」という実感がありました。それがあったからこそ、現在もコーチとして仕事をしているのだといえます。
この約10年間、さまざまなコーチにつきました。ゴールに向けて常にリマインドする人、強みにスポットを当てる人、厳しいフィードバックをする人、自分の持っているノウハウを惜しみなく共有する人など、それぞれ独自の特徴があるコーチにつき、多くのコーチング・セッションを体験しました。
さて、このたび、初めてアメリカ人のコーチにつくことになりました。彼は、アメリカでエグゼクティブコーチとして活躍しており、その彼に3ヶ月間のコーチングを依頼することになりました。
初回のセッションはオリエンテーション。私は外国のコーチは初めてですので、一体どのように進めるのか、大きな期待を持ってセッションに入りました。
最初の15分間は、コーチングの約束ごとについての確認でした。
「セッションの時間は30分。毎週1回、電話でセッションをします。遅刻しても、その時間はあなたのために空けて待っているから、電話してください。具体的なゴールを取り上げ、それについて扱います」などなど。
ここまでは、経験したほかのコーチと変わりはありません。しかし、その後から、聞いているうちにこちらの背筋がピンと伸びてきました。
「コーチングの中であなたが自分で決めたことについて、責任を持って欲しい」
「セッションとセッションの間で、どのようなアクションをとるか毎回決めます。それを実行するのはあなたの責任です」
「コーチングの中では、あなたは、もしかして今までやれなかったことをすることになるかもしれない。もし、やりたくないこと、できないことがあったら、それは事前に言って欲しい。やれないことを扱っても意味がないから」
「毎回のセッションの最初に、どういう進捗があったか必ず確認します」
クライアントである私の責任について、ここまで明確に、具体的な言葉で伝えられたことはありませんでした。
「あなたは自分の行動に責任がある。You are accountable for your actions」
そのメッセージが伝わり、1時間のオリエンテーションが終わった時点で、3ヶ月分の覚悟と、手にいれるであろう成果についての期待が大きく膨らむのを感じました。
国際コーチング連盟の「コーチのコンピテンシー第11条」に、次のことが挙げられています。
「クライアントの進捗と責任をマネージすること:クライアントにとって何が大事であるかに注目し、自ら行動をとることに責任を持たせること」
まさに、これに直面した感覚です。
彼は最後にこのように締めました。
「行動は自分自身への約束でやって欲しい。それには多少の努力が必要かもしれない。ときにはやりたくないこともやることがあるでしょう。でも、私はあなたをサポートします」
コーチはコミットメントを要求する。私の新しいコーチはそれを強烈に伝えてきました。
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