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11のコンピテンシー

コーチングを学ぶ方から、よく次の質問を受けます。
「コーチとしてスキルアップするためには、何を目指し、
どういうことを勉強すればいいのでしょうか?」
それについては、ひとつ確実に指標となるものがあります。
国際コーチング連盟(ICF)が定める「コーチのコンピテンシー」です。
ICFでは、コーチのコンピテンシーを常に修正し、
言語化することに多くの力を注いでおり、
そのための独自の委員会を持っているほどです。
その委員会に参加したことがあるのですが、
ときに喧嘩になるほど、喧々諤々と議論を交わしていました。
その結果、具体的な言葉になったコンピテンシーが生まれ、
認定コーチ資格の試験も、このコンピテンシーに沿った能力を
持っているかどうかに基づいて行なっています。
ですから、コーチとしてのスキルアップを目指し、
優秀なコーチとなるためには、
このコンピテンシーをガイドラインとして
常にチェックすることをおすすめします。
コーチには、次の11のコンピテンシーが求められています。
それぞれ初級者レベルから上級者レベルまでありますが、
今回は、マスターコーチと呼ばれる上級者レベルの特徴を
ご紹介します。
1.プロとしての倫理規定と基準を満たしている
→コーチの倫理規定について明確に言語化できる
2.コーチングのセッションについてクライアントと同意を作り出す
→コーチングセッションに、クライアントが何を求め、
どんな成果を手に入れ、それをどのように測定するかについて
クライアントとの同意を作り出すことができる
3.クライアントと親密な関係を築いている
→ただ親しいのではなく、クライアントとパートナーシップを
組み、クライアントの未知の部分を一緒に探求できる
4.コーチとしてのプレゼンスがある
→オープンで柔軟で自信に満ちた態度を持つ
5.アクティブリスニングができる
→クライアントが話していることと、言語外にあることの両方に
耳を傾けており、クライアントが自己表現できるよう援助する
6.強力な質問ができる
→クライアントに考えさせ、自己開示できる情報を引き出す
質問をすることができる
7.直接的なコミュニケーションができる
→クライアントにとって、最もポジティブな影響を与える
コミュニケーションを起こすことができる
8.気づきを促す
→クライアントが求める成果を達成するために、
クライアントから得た情報を正確に統合することができる
9.行動を促す
→クライアントにとっての学習の機会を
ともにデザインすることができる
10.計画と目標設定
→クライアントとともに、効果的なコーチングのプランを
作ることができる
11.進行状況を管理し、責任を持たせる
→クライアントにとって何が大事かを明確にし、
行動を起こさせるための責任を自ら取らせることができる
以上が、11のコンピテンシーです。
ICFでは、認定試験の口頭試験において、それぞれの
コンピテンシーについて点数をつけ、その人がコーチとしての
能力を持っているかを、ひとりにつき4時間かけて審査します。
この11項目のリストをもとに、周りの人や、自分のクライアントに
点数をつけてもらうのも、自分へのフィードバックとして有効です。
このリストを目に見えるところに掲げ、定期的に自分をチェック
してみると、コーチとしてのスキルアップにつながります。
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