Coach's VIEW

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9年前のヴィジョン

1998年9月、第3回国際コーチ連盟の年次大会に向かうため、
アメリカのアリゾナ州フェニックスにたった一人で向かいました。

97年10月にコーチ・トゥエンティワンを設立し、
コーチ・トレーニング・プログラム(CTP)を始めたものの、
最初の1年は思うように受講者が集まらず、事業の将来性に
一抹の不安を感じていた時期でした。

私は、フェニックスへと旅立つ3ヶ月ほど前より、創業者である
伊藤から、法人向けの部門を立ち上げるようにとの指示を受け、
日々企業に電話をかけたり、訪問をしたりしていました。
しかし、企業の方の反応はすこぶる悪く、
話を全く聞いていただけないような状態でした。

一筋の光明を、コーチング先進国であるアメリカに見出したい。
そんな想いを強くいだいて成田空港から飛行機に乗りました。

フェニックスで1つの分科会に参加しました。
分科会の名前は「魅力的な未来を創る」。

約1時間のセッションの間でしたが、
自分の未来について語る時間が30分ほどありました。

「詳細に描かれた未来は、必ず実現します」という、
プログラムファシリテーターの声に刺激され、
パートナーのアメリカ人のコーチに向かって、
10年後何を手にしたいのか、浮かんでくるイメージを
必死になって言葉にしました。

高層階の広々としたオフィス。
とても楽しそうに仕事をしている100人近いスタッフ。
一角にあるガラス張りの自分の部屋。
部屋の真ん中に置かれた木目調の大きな机。
机の上に置かれたきらりと光るラップトップのコンピューター。
部屋に彩りを添えるグリーン。
印象派風の絵画。
自室の窓から見える高層ビル群。

この時描いたヴィジョンを、それ以降何度も何度も繰り返し
自分の中に呼び起こしました。
一人で物思いに耽っているとき、スタッフと未来について話して
いるとき、自分がコーチングを受けているとき。
全く同じ映像を繰り返し繰り返し、記憶の中から引き上げ、
目の前の人に語りました。

本などから得た次のような情報も、自分のヴィジョンを繰り返し描き
出そうとする強いモチベーションになりました。

・イメージは「ワーキングメモリー」に短期間だけ保存されるため、
 繰り返し描かないと消え去っていってしまう。
 水彩画ではなく、油絵のように何度も何度も上から塗りなおして
 いく感覚で描いたほうがよい。

・ヴィジョンが明快だと、「選択的知覚」が働き、
 ヴィジョンを手にするのに必要な情報を無意識に集め始める。
 (つまり、落ちている小判が目に入り始める)。

さて、魅力的な未来を描いたあの日から約9年が経とうとしています。

今週、月曜日、コーチAは新オフィスに引越しをしました。
千鳥ヶ淵を眼下に見下ろす250坪のオフィスからは、皇居、
そして丸の内のビル群が一望できます。
140人分の座席が用意され、ガラス張りの自分の部屋も持たせて
いただきました。木目調の机も。(絵はまだですが。。)

「未来に向けたヴィジョンは本当に必要ですか?」という質問を
受けることがたまにあります。

少なくとも自分の経験からは、次のようにお伝えすることが
できそうです。

「必要かどうかはわかりませんが、ヴィジョンを描き続けていれば、
そのヴィジョンはどうも手に入るみたいですよ」と。

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