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360度フィードバック・アセスメント
2007年02月28日
コーチングは単に、コーチング・カンバセーションだけを指すものではありません。
1回のコーチング・カンバセーション(コーチング・セッション)と次のコーチング・セッションのあいだには、さまざまなツールを使ったり、アセスメントのアサインがあったり、宿題が出されたりします。
通常、コーチング・セッションでは、宿題やアセスメントを、クライアントとコーチのあいだにおきながら会話を交わします。そうすることで、面と向かって会話を交わすよりは、ずっと楽に言葉が出てくるものです。
コーチングはクライアントとコーチのあいだで、プロジェクトをもつことで始まる
コーチングというのは、最初からそこにコミュニケーションがあるわけではなく、クライアントとコーチのあいだで、プロジェクトをもつことで始まります。 プロジェクトの進行の過程で、コミュニケーションが発生するのです。
コーチの仕事は、単に目標の進行管理にあるわけではありませんから「今日はどこまでやった?」「次はどこまでやる?」なんて聞かないものです。
目標達成に必要なのは、努力や計画、叱咤激励ではなく、知識やツール、そしてスキルを備えさせることです。たとえクライアントがどんな目標をもっていようと、コーチの視点は、いかに速やかに知識やツール、スキルを備えさせるかいうところにおかれます。
ところで、私は会社の経営をしています。しかし、私は、会社の経営について、系統立てて勉強したことがあるわけではありません。 経験が30、近くにいる経営者をモデルにするのが10、本、勉強会、講演などから得た知識が10、そして勘が50、という感じで経営をしてきました。
360度のフィードバック・アセスメント
あるとき私は、私のコーチからリーダーシップやマネジメントに関する360度のフィードバック・アセスメントを提案されました。私の経営に関する知識があまりにも貧弱だったからでしょうか。
以下のような内容について、自分の周囲の人たちに 評価してもらうことになりました。
- リーダーとして簡潔に行くべき方向を示している
- 提案に対しては速やかに対応している
- 信頼感がある
- 飛びぬけた情熱を感じる
実は、そのフィードバックの結果にショックを受けました。
当然ながら自己評価と、他者の評価にはギャップがあります。もしコーチがいなければ、私は、誰がそういう評価をしたのか、犯人探しをしたことでしょう。 または、結果を無視するような態度に出たかもしれません。
その後のコーチングセッションでは、フィードバックに対する態度について、また、それらの情報をいかに有効に使えるようになるかについて、コーチと話しました。
フィードバックに対する基本的な姿勢としては、たとえば、良い/悪いの判断を加えない。判断をしない。そして、そこからどんな情報が得られるかについて検証します。
コーチと、結果についてそのように扱うことで、360度フィードバックは、確かに役に立つものになりました。いま自分が何を身につける必要があるのか、また、人との関わり方について、新しい視点を持つ機会を手にしたと思います。
MBAの取得を目指しているわけではありませんから、アセスメントの内容は、現状に適したものを用いる必要があります。本来コーチは「質問をつくる」のが仕事ですから、コーチは、アセスメントもつくる必要があります。
いま私は、クライアントごとに、テーラーメードでアセスメントをつくり、定期的にアセスメントを用いて、お互いに進捗を見ています。
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