Coach's VIEW

Coach's VIEW は、最新のコーチング情報やリサーチ結果、海外文献の紹介を通じて、組織改革や人材開発、リーダー開発グローバルビジネスを加速させていくヒントを提供するコラムです。


マネジャーの悩み

私にはAさんという部下がいます。
入社2年目。32歳の男性。とても前向きで優秀。
特に実行力が抜群で、それを評価してマネジャーに抜擢しました。

ひとつのチームを任せたのです。

ところが、チームの様子を見ていると、なんとなく部下の顔色が冴えない。

360度フィードバック(多面評価)を実施してみると、
部下からの評価が案の定、低い。
彼もそれを気にして、自ら私にコーチを依頼してきました。

「部下とのコミュニケーションをテーマにコーチをして欲しい」

こうして、月に2回のコーチングが始まりました。

 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

半期ごとにマネジャーが部下に行う目標面談でのことです。
彼との面談を終えて部屋から出てきた部下の目が少し潤んでいる。

「泣いてたの?」

彼女は否定しましたが、私はそれが気になり、
別のマネジャーに様子を聞いてもらうことにしました。

すると、面談の中で、彼から詰められた模様。
それどころか、日常的に否定されているように感じているらしい。

話を聞く限り、部下である彼女のモチべーションは
明らかに下がっている。

部下にも上司にもそれぞれの言い分があるでしょうが、
モチベーションを下げたという結果だけを見れば、
上司のあり方として、うまくいっているとは到底言えません。

どのような意図をもって彼女と接しているのか、
彼自身からも話を聞くことにしました。

「私は彼女に期待していて、早く成果をあげて欲しいと思っています。
  彼女を応援したいという気持ちであって、
 否定する気持ちは全然無いんです」

相手の反応が、自分のコミュニケーションの結果である。

これはコーチングの基本的な考え方の一つです。
両者がこの考え方に立つことができれば、
コミュニケーションで起こる問題はほとんど解決するに違いありません。

相手の反応を引き起こした原因となる
、自分のコミュニケーションがわかっていれば、
それは自分でコントロールすることができます。

意識的にきつい言い方をしたことで、相手が萎縮したのであれば、
これは改善できる。

ところが、自分のコミュニケーションの何が影響したのかを
自覚できないと、それを改善するのは難しくなります。

次のコーチングセッションで、私は彼に質問しました。

「どうやったら、自分のコミュニケーションを
  自覚できるようになると思いますか?」

「自分ではかなり意識しているつもりなんですが、
  今回もこのようなことが起こることを考えると、
 結局自分ではわからないんではないかと思っています」

「どうしたらいいと思う?」

「相手から、その場で直接教えてもらわない限り、
  自分では気づくことができないのではないでしょうか。
 チームのメンバーに頼んで、自分のコミュニケーションの
 改善のために協力してもらおうと思います」

これからも、彼とのコーチングは続いていきます。

 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

マネジメントとは、すなわちコミュニケーションだと言っても
過言ではありません。

コミュニケーションをコーチするときのポイントは、
本人のコミュニケーションのスキルそのものを扱うだけでなく、
本人と本人を取り巻く人々との関係性に目を向けることです。

もし、その人たちを協力者にすることができれば、
本人はもとより、その組織全体の生産性にまで
成果を及ぼすことが可能になるでしょう。

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

関連記事