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七色のあいづち

のっけから手前味噌で恐縮ですが、、、
先日クライアントの方からお褒めの言葉をいただきました。

「鈴木さんのあいづちって、本当に良いですね。
タイミングがすごく良いし、軽やかに前へ前へと押し出されていく感じ。
何でも話しちゃおうっていう気になりますよ。ある意味芸術ですね。
それって、経営者としても持っていたらすごくいい能力だと思うんですが、
どうやれば身につくものですか?」

実は以前、アメリカにいた時に、
あいづちを打つトレーニングを受けたことがあります。

2人組になり、目の前の人の話を、あいづちだけで引き出します。
質問もコメントも何もしない。使っていいのはあいづちだけ。

これがなかなか難しい。

純粋に相手の話に興味が持てて良いあいづちが打てていると、
相手はとめどなく話してくれます。
しかし、ちょっとでも相手の話を頭の中で批評したり、論評したりすると、
あいづちが微妙に乱れ、如実に相手の話の勢いが落ちます。

トレーニングの最中、

「相手の話が正しいか間違っているかの判断は加えずに、
興味と関心で聞くんだ!」

そんなセリフを何度も自分に言い聞かせる必要がありました。

そのトレーニングでは宿題も出ました。
日常生活の中で1週間、話を聞くときは極力あいづちしか使わない、というものです。

クラスの中では、向かい合った相手はある程度は話してくれますが、
日常生活でこれをやると、自分のあいづちの実力がリアルに現れます。

あいづちが悪ければ、相手は話を止めてしまいます。
そこで質問もコメントもしないわけですから、ばつの悪い沈黙が流れます。

沈黙を起こしたくない一心で、相手が話し始めたら、
とにかく相手が話を切らないように、一生懸命良い感じのあいづちを打ちました。

このトレーニングを通過したことがきっかけになって、
実に様々な表情のあいづちが打てるようになりました。
時には強く、時には柔らかく。

相手がのっているときは少しかぶるくらいにスピード感をもって、
相手がじっくり話しているときは少しあいづちのタイミングを遅らせて
こちらも言葉を噛み締めていることを相手に伝えて。

コーチという仕事を始めてからも、
「七色のあいづち」はとても大きな武器となっています。

アメリカでのあいづちトレーニングの話を
冒頭のクライアントの方にもしました。

のりの良い方なので、

「よし、俺もそれやってみるよ。
1週間、まったくあいづちだけで人の話を聞くというのを!」

一抹の不安を覚えましたが、まあやるとおしゃるので、それではと。

さて、1週間後、彼からメールが入りました。

「人の話を一切批評せずに聞くというのが、こんなに難しいとは思いませんでした。
ただ発見したのは、どうも自分が考えたり思ったりしていることは
かなりあいづちに現れるということです。
あいづちで相当こちらの内面が見透かされてしまう、
というのだけはわかりました」

最後はこう結ばれていました。

「引き続き努力します!」

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