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老化のポイント
2007年08月01日
組織では、エネルギーのレベルが話題にされます。
リーダーシップが発揮され、イニシアチブ(主導権)がはっきりしているとき、エネルギーが高いと評価されたり、アイディアを自由に出し、いい関係を保ちながら仕事を進めていくチームが、エネルギーが高いと言われたりします。
プロジェクトやグループの中でばりばりと前進し、周りの人たちを勇気づけていく人は、「エナジャイザー」(精力的に活動する人)と言われます。
反対に、エネルギーを消耗させるタイプの人もいます。どんなに有能であっても、チームとの関係が築けず、会話を非生産的で面倒なものとして考えます。このタイプの人は、ミーティングにおいても批判的な態度であったり、無関心を装い、それでいて周りの注意を引きます。注意を向けさせながらも、決して責任を取ろうとはしない。そうやって、周りの人たちを疲れさせていきます。
組織の中には、エナジャイザーと、非エナジャイザーが存在するのです。それは、成長のスイッチを入れる人と、老化のスイッチを入れる人のような役割を果たしているものです。
弊社では毎日、アンケートシステムを使って社員一人ひとりのエネルギーレベルを記録しています。「とても低い」から「過剰に高い」まで7段階に分け、社員自身が、自分のエネルギーレベルについて主観で記録します。また、その理由もメモします。
数週間から数ヶ月間記録して、グラフにして表すのですが、
・エネルギーレベルを毎日計測するだけでも、計測しないチームよりも、エネルギーレベルが上がる
・自分がどのようなときにエネルギーが上がり、どのようなときにエネルギーが下がったと感じるかを知ることで、ある程度コントロールが可能になる
・エネルギーの高低は、チーム内のコミュニケーション、マネジメントに大きく左右されている
など、興味深い結果が見られました。
また、社内で集計したアンケート結果や、これまで蓄積してきたデータから、エネルギーを奪ってしまう原因については、以下のような内容が挙げられます。
・ マネージャークラス以上の人が、自分で手を動かさない
・ 余計なことに関しては話に関わってこない
・ 決裁に時間がかかる、決裁に関係者が多すぎる
・ 解決できない課題をうやむやにする
・ 怒鳴って解決を図る
・ 論理性がない
・ 結論が出ないまま、だらだらと続く会議や業務推進
・ 上司が部下を指導するときに、経験でしか仕事ができないという印象を部下に与え、経験者以外の意見を認めない文化が形成されていると感じさせる
・ 事例が無いものについては、なかなか取り組もうとしない
・ 新しい考えを採用するというリスクをまったく取らない
エネルギーのレベルを目で見ることはできません。しかし、それは体感しているものです。
誰が場にエネルギーを持ち込んでいるのか、また、誰がエネルギーを奪っているのか、それに気づいていること。どのような態度がエネルギーを上げ、どのような態度はエネルギーを奪うのかについても、知っている必要があります。
他の人のエネルギーを奪うのは論外ですが、他の人のエネルギーをどうしたら上げることができるかについて知ることで、「場」のエネルギーを上げることが可能となり、それは自分自身にも影響してくるのです。
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