Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
MAX5分
2007年10月31日
コーチングを勉強しても、それを使う場面を見つけられないまま、コーチングのスキルを使う機会を失っているコーチは少なくありません。
特に、企業のマネージャーやリーダーは仕事の時間中、どこで部下をコーチするか迷ってしまうのではないでしょうか。わざわざ会議室に呼び出して話すのでは、ちょっと大仰になってしまうし、かといって、居酒屋ではコーチングにならない。
コーチングに対する誤解はいくつもありますが、そのひとつに「じっくり時間をかけてやらないければならない」という思い込みがあります。最低30分、時には1時間。これだと、最初から臆してしまいますし、コーチングを受けるほうにも負担になります。
しかし、社内における実践的なコーチングは、ひとりに30分、1時間という無理な設定を最初からせずに、最大5分を前提にコーチングするほうが効果的です。できるだけ頻繁に、5分間コーチングを実践するのです。
では、どういう場面で5分間コーチングは行われるのでしょうか。それについて、リサーチをしました。
【質問:あなたはどういうときにコーチしてほしいですか?】
・ いろいろアイデアを出したいとき(ブレーンストーミング)
・ 原稿を書くとき
・ プレゼンの前
・ 難しい部下をコーチする前
・ 計画を立てるとき
・ 仕事を整理したいとき
・ クレーム対応の前と終わってすぐ
・ 優先順位を決めるとき
・ 未完了を完了させるとき
・ 会社やチームに新しいメンバーを迎えるとき
・ チームが変わったとき
・ 営業に行く前と帰ってきてから
etc.
そのために、わざわざアポイントを取ったり、場所をとらなくてもいいのです。廊下でも、机を挟んででも、電話でも、コーチングはできます。5分は新しい視点を得るために、充分な時間です。
一般に、コミュニケーションに時間が必要になるのは、テーマを探るために時間を使うことになるからです。もし、最初からテーマがはっきりしていれば、5分の間に多くの情報を整理することができます。座らなくてもいいのです。立ったままで、5分間のコーチングは効果的です。
もちろん、5分間コーチングが日々継続されていればいるほど、その効果を期待することができます。人は基本的に変化を避ける傾向にあります。たとえどれだけインパクトのあるものでも、たった1回のコミュニケーションでは、継続するコーチングにはかないません。
マネージャーやリーダーは、いつでもこちらから声をかけることができます。営業から帰ってきたときに、「今日の営業はどうだった?」。新しい役割にまだなじんでいないときに、「仕事には慣れた?」。
そして、次の瞬間に核心に入り、コーチングが可能になります。もちろん、前提が共有されていることが条件です。一緒に仕事をしていて、お互いの立場や、どのような役割をもっているかをお互いに了解している、また、お互いに信頼感がある。そういう場合は、速いスピードでコーチングを進めることができます。
ゆえに、マネージャーやリーダーがコーチングを学ぶことで、効果的な人材育成、また、業績に直結したコーチングの実践が、可能になるのです。
MAX5分のコーチング。
マネージャーが、コーチとしてテーマを絞り、コーチングを継続するなら、効果を期待できます。
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