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共感を測るバロメーター

先日、ラジオを聞いていると、
ある医師が「共感」について話していました。

患者は、自分の状態や気持ちをわかって欲しいと思っている。
まずはその共感がないと、信頼関係はなかなか生まれない。

ところが医師は、患者の痛みや不安そのものを体験することはできないので、
「私もあなたと同じです」という意味の共感をすることはできない。

医師にできることは、

「おなかが痛いんです」
「おなかが痛いんですね」

と、同じ言葉を繰り返すこと。
そのとき、

「そうなんです」

という言葉が返ってきたら、共感が起こったと判断するというのです。

患者が医師の共感をを受け取ったかどうかのキーワードは
患者の口から出る「そうなんです」という言葉だというわけです。

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クレーム対応の担当者から聞いた話です。

クレーム対応のポイントは次の2つ。

・感情的解決
・物理的解決

この2つが満たされるとクレームは収まる。

特に大切なのは感情的解決。
つまり、気持ちが収まらないと、いくら物理的な解決策を提示しても
クレームはなかなか収まらない。

そのときのポイントは、やはり相手の口から出る
「そうなんです」という言葉だそうです。

「対応が遅くて本当に困ってるんですよ」
「申し訳ありません。困っていらっしゃるんですね」
「そうなんです」

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両者に共通するのは、
相手と同じ体験を共有することはできないということ。

「私もあなたと同じです」という意味の共感を示すことはできないのです。

ところが、相手は自分のことをわかって欲しい、
理解して欲しいと思っている。

そのとき私たちにできることは、
相手の話している言葉をそのまま繰り返したり、
深くうなずくことによる、
同意としての「共感」なのです。

このことは、「上司と部下との関係」にもそのまま当てはまります。
あるコンサルティングファームが実施した社員満足度調査によると、

「上司は自分と話す時間をとってくれている」

という質問に対する回答は、「はい」が約70%。

ところが、

「上司は自分のことをわかってくれていると思う」

という質問に対する回答は、「はい」が約40%。

部下にしてみると、コミュニケーションを取っている割には、
上司は自分のことをわかってくれていないと感じているらしい。

「部下の動きが悪い」
「指示してもなかなか動かない」

など、上司の側からよく出てくる言葉です。

もちろん、部下にも問題があるとは思いますが、
もしかすると、上司と部下との間の共感が少ないがために、
部下の動きが悪くなっているのかも知れません。

部下は、もう少し自分のことを知って欲しいと思っているのです。
そして共感が欲しいと思っている。

それがあって、はじめて上司からの指示を受け取るのだと思います。

あなたは、部下からどのくらい
「そうなんです」という言葉を引き出していますか?

それは、あなたがどのくらい共感を生み出しているかの
1つのバロメーターといえるでしょう。

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