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未来を創造させる質問
コピーしました コピーに失敗しました前回は、国際コーチング連盟(ICF)が定めるコーチのコア・コンピテンシー(※欄外参照)の「聞く」スキルについて取り上げ、簡単なエクササイズを紹介しましたが、実践してみていかがでしたか? 数多くの方からメールをいただいたところからすると、積極的に「聞く」ということの関心の高さと、実践の難しさを実感します。
今回は、コア・コンピテンシーの「効果的な質問」(英語ではPowerful questioning)を取り上げます。
コーチは何をするの? と聞くと多くの人は「質問をする」といいます。ICFでは、「効果的な質問」を次のように定義しています。
・積極的に聞き、クライアントの視点を理解する質問ができる
・気づき、洞察、コミットメント、もしくは行動を呼び起こす質問ができる(本人が予測する領域を超えるような質問)
・物事が明確になり、可能性や新たな学びを生むような質問ができる
・自分を正当化したり、過去を振り返るための質問ではなく、相手が本当に望んでいる方向に進んでいける質問ができる
言葉にすると簡単ですが、実際に、4つの目的を達成する状態を質問を通じて作れるかは、別の問題です。
質問のスキルは次のように段階化されており、コーチの認定試験では、以下の切り口で審査しています。
【初級レベル】
クライアントにコーチが知りたいことを聞いている
正確な答え」を言わせている
【中級レベル】
基本的にクライアントの解決策に向けられる
クライアントとコーチ両者にとって居心地のよさを超えることはない
【上級レベル】
新しい発想を喚起させ、未来を創造させる
ときには両者にとって居心地が悪いこともある
上級レベルのマスター・コーチと呼ばれる人は、新しい発想をさせ、居心地の悪さも体験させる、と言えます。
11月初旬にカルフォルニア州ロングビーチで行われたICFのコーチングのカンファレンスに参加しました。その中で、1つの分科会を担当しました。
内容は「コーチのコア・コンピテンシーを学習する」。
ニューヨークでエグゼクティブ・コーチをしているエレンと組み、コーチングのデモンストレーションをしました。エレンがコーチ役で、私はクライアント役。テーマは「新しいプロジェクトの中で、いかにリーダーシップを発揮していくか」というものにしました(これは、現実に私が直面しているシチュエーションです) 。
エレンは、私の話を微動だにせず、あいづちも打つことなく聞いてました。
「あなたは、どういう結果が得たいのですか」
始めることしか考えていなかった私に最初のジャブ。多少しどろもどろになりながら答えていると、次の質問。
「リーダーとして、あなたはどういうシフトを起こす必要があるのですか」
約60人ほどの聴衆を前にしてのこの質問はパンチでした。脳がギューッと収縮する感覚がしました。まさに「考える」ということを物理的に体感した気分です。
その瞬間、時間軸が一気に現在から3年後にワープしました。そこにいる人や、自分とその人たちとの関わりが頭の中に絵としてあらわれ、それをベースに話し始める自分がいました。
それは心地よい体験だったか。答えは、ノー。今手にしている「安全」を手放さなければならないことに、直面する感じも味わったからです。
エレンの質問は何にフォーカスを当てるかを意識させ、いまだにその感覚は残っています。
質問にも練習が必要です。次の一週間、以下のことに取り組んでみてください。
・一日に一度、会話の中で質問することに意識を向ける
・一日に一度、自分が知りたいことを聞くのではなく、相手について学ぶことを目的として質問する
・一日に一度、これ以上持ち得ないと思うくらいの好奇心を持って質問する
そして会話がどのように展開するかに注目してみてください。
※「コーチのコア・コンピテンシー」はこちらからご覧ください。
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