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目標面談だけでは足りない
2007年12月26日
目標面談に関する調査(※欄外参照)を実施したところ、面談を受ける側の半数以上は、面談を求めていることがわかりました。また、彼らは、年に一度や二度の面談では足りないとも思っています。
部下は上司に、自分について知っていて欲しいと思っています。単に担当している業務についての能力だけではなく、まだ発揮されていない能力があることも知っていて欲しいと思っています。
以下は、「目標面談を受けることは役に立つ」と答えた人たちが、具体的に何に役立っているかについて述べたものです。
目標面談は具体的に何に役立っているのか
- 上司と自分のことに関してだけ話す機会はそうそうないので、普段言えないことを言えたり、確認できないことを確認できる
- 目標を明確にでき、定期的にレビューしフィードバックをもらえる、また、進捗が確認でき、現状分析ができる
- 設定した目標の再確認ができ、軌道修正ができる
- 自分の目標と上司の考えている内容のすりあわせができる
- 業務を進めていくときの方針、狙い、判断基準が改めて明確になる
- 現状と今後の取組みが明確になって、行動しやすくなる
- 上司の求めることが確認でき、その後の行動に生かせる
- 問題を整理したり、優先順位を決めたり解決する手順のヒントになる
- 自分への評価を率直に聞くことができる
- 自分の業務に対する思いや目標を聞いてもらうチャンスである
- お互いの信頼関係が深まる
- 会社の方針と、自分の目標の方向性が一致しているかどうか確認できる
- やるべきことや進捗状況の確認、報告ができる
- 仕事の実態を理解してもらう場になり得る
- 日ごろの思いを話すことで、誤解が解消され、共通の目標に向かってがんばろうという気持ちになる
- 目標を設定することによって、スキルを向上することができる
- 話すことで自分の考えがまとまったり、仕事に対して公言することで責任感が出る
これだけ効果の期待できる目標面談をまったく実施していない会社もあります。また、制度だから、と単に儀式的に行なわれているケースもあります。
先に述べたように、部下は上司に、自分について知っていて欲しいと考えています。実際に、部下について知らないままで、部下を育成はできません。
確かにどんな上司でも、部下についてはそれなりに知っているでしょう。しかし、部下育成に成功している上司は、例外なく、部下を知ることについて「徹底している」のです。
面談は、部下について知るためには、効果的な場面です。しかし、「今」の部下を知るために、四半期、半年、1年と時間を空けてしまっては、「今」の「生」の部下を知ることはできません。
人はそれぞれ違います。同時に、毎日違います。したがって、面談の時間だけで、部下について知るのは不可能です。
だいたい、面談の場面で、部下について初めて気がつくことがあるようでは、遅すぎます。また、関係を築いたり、修復するのにも、面談だけでは十分な時間ではありません。
実際にリサーチの結果で、1回の面談よりも、普通のコミュニケーションが大切だという声もありました。
普段から部下とコンタクトをもち、「今、ここ」で関わり、部下について知り、部下の様子を見ている。また、自分の思っていることも伝える。それを継続する過程に、コーチングがあります。
日々、部下と接する中で、コーチングを通して「今日」の、「今」の部下について、知ることができます。そして、それは、部下が近い将来遭遇するであろう「変化」についてコーチする機会でもあるのです。
※WEEKLY COACH 人材育成に関するリサーチ 第1回「目標面談」
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