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相手の話をおもしろく聞く

「もっとコミュニケーションを」と言われても、
実のところ、何を話したらいいのかよくわからない。

「共通の話題を探しましょう」。
野球やゴルフ、時事問題、そういうことでしょうか?
そういう話題は、たいてい詳しい人の独壇場ですから、
わざわざ自分が話す必要もない。

慣れないパーティーの会場、
職場で仕事以外の話をしなければならないとき、
実際、何を話したらいいのかよくわからないものです。

よく「思っていることをはっきり言ってみろ」なんて言う人がいます。
でも、思っていることなんて、
そう簡単に言葉にできるものではありません。

私たちの頭は、考えているときに、
言葉を話すときの100倍とか200倍のスピードで回転しています。

ですから、普段は自分が何を考えているのか、
よくわからないものなんです。

どちらかといえば、話しているとき、話すスピードに落ちて初めて、
自分が何を考えていたのかに気がつくことの方が多い。

要するに、話がまとまってから話すのではなく、
話しながら頭がまとまるといったほうが正確です。

およそ、人に優しい人は、
「思っていることをはっきり話せ」なんて言いません。
話しながら頭が整理され、
何を思っているかに気づくということを知っているからです。
「話を聞く」ということについての前提が違います。

相手が話しながら頭の中を整理したり、
これからどこへ向かおうとしているのかはっきりさせるのを
手伝っていると思って、聞いています。

ですから、どんなに脱線しても、どんな思いつきを言っても、
にこにこ聞いているものです。

正解を引き出すわけでもなければ、
自分の期待に沿わせるわけでもありません。

私たちは、自由に話すことを通して学習の機会を得ています。

学習することを、
私たちは「インプット(input)」として捉える傾向があります。
本を読むこと、話を聞くこと、見たり聞いたりすること。

しかし人は、「アウトプット(output)」を通して学ぶことも多くあります。
むしろ、アウトプットの方が効率がいい場合もあります。

教える側に回ることで、初めて学ぶこともあるものです。
従って、アウトプットの機会が無いと、学ぶ機会も失われることになります。

しかし、良い聞き手に出会うことはまれです。
「話して良かった」なんて思わせてくれる人には、めったに出会いません。

それだけ、良い聞き手には希少価値があります。

良い聞き手、つまり人の話を聞く能力の高い人は、
人の話をおもしろく聞く能力を持っています。
そもそも人に対する興味があって、人の話を聞くことが好きです。
彼らには、「つまらない話」というものは存在しない。

えてして人の話はつまらないのですが、
そのつまらない話を「おもしろく聞くことができる」才能がある。

「おもしろく聞く」。

一見退屈で、つまらない話であっても、注意深く聞いていて、

「それってどういうこと?」
「もう少し詳しく」
「そのとき何考えていたの?」

そのとき見えていたもの、聞こえていたもの、思っていたこと、
そういうことを問いかけながら、話をおもしろくしてしまうんです。

聞いている方も、そして、話している方も、
おもしろい話を共有することになります。

話している方は、自分の話がおもしろいので、驚きます。

「おもしろい?」
「すごく」

もともとおもしろい話があるわけではなくて、
おもしろく聞ける人がいるのです。

良い聞き手の条件には色々ありますが、
つまるところ、人の話をおもしろく聞けるということだと思います。

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