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コーチであることと、コーチングをすること
コピーしました コピーに失敗しましたコーチングを学び始め、そのスキルを向上させていくプロセスには、いくつかの段階があります。
◇第1段階
コーチングスキルを、職場や仕事上のコミュニケーションの中で日常的に使ってみる。
→今までに試したことのないことに取り組み、コミュニケーションに新しい可能性を見出し始める。
◇第2段階
コーチングのクライアントと契約し、コーチングセッションを定期的に持つようになる。
→コーチングセッションという単位を持ち、コーチングの契約期間中に何に取り組むか設計を考えるようになる。
◇第3段階
毎回行うコーチングのセッションを、どのように進めたらいいのかわからなくなる。
→行き詰まる。
これは、コーチングを実践し始めた人がよく体験することです。
私自身、コーチングの最初の印象は、「質問をするスキル」、「聞くスキル」、「承認するスキル」を使うことであり、コーチがやることは、これらを使うことだと思っていました。
「いいですね」
「○○についてはどう思いますか?」
「なるほど」
などを会話にちりばめながら、「これがコーチングだ」と思っていました。
しかし、クライアントを持ち、実際にクライアントと1対1のセッションを行うようになると、相手の話を聞いているつもりで、「この後、どういうことを言えばいいだろう」「何を質問すればいいだろう」 と考えてばかりいて、四苦八苦していました。その場限りのやりとりをしているような気がしていて、「これで大丈夫か?」と思う場面もありました。
国際コーチング連盟(ICF)には、「コーチのコンピテンシー」というリストがあります。
これは、「人をうまくいかせることができる人」「相手の目標達成を促進できる人」の行動特性をリサーチし、それを分類化してまとめたものです。 このリストを見るたびに、その内容の深さに感動します。
◇関係をともに築く
・相手と親密な信頼関係を築いている
・コーチとしてのプレゼンスがある
・効果的なコミュニケーションをしている
◇アクティブ・リスニングをしている
・効果的な質問をしている
・率直なコミュニケーションがある
・学び、成果を得ることを促す
◇「気づき」を促している
・行動をデザインしている
・行動計画とゴールセッティングがある
・進行状況を管理し、責任を明確にしている
これができる人が、すなわち、コーチなのです。
有能なコーチは
「相手と信頼関係を築いているか」
「相手と効果的にコミュニケーションしているか」
「相手に気づきを促しているか」
「行動計画やゴールセッティングをさせているか」
ということに常に意識を向けていることになるわけです。
コーチングを効果的に活用したいという人が増えている中、陥りがちなのは「コーチングのスキルを使う人」になることです。すると、コーチングの目的は「コーチングすること」になってしまいます。
もし、コーチングを学んでいて、クライアントに成果を出させていないとか、行き詰まりを感じているとしたら、ここで、「自分はコーチか?」という問いかけをしてみてください。
その際「コーチのコンピテンシー」を読み直し、自らを振り返ることをお勧めします。
あなたはコーチングをする人ですか?
それともコーチですか?
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