Coach's VIEW

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リーダーを育てる

今リーダー不足が問題になりつつあります。
リーダーそのものの物理的な人数が減少しているのです。

同時に、そのリーダーを育成する方法は
これまでのリーダーシップ・コンピテンシーの枠を
超えることができていません。

たとえば、

◆ 2006年以降、ベビーブーマーの定年退職は、
  7秒に1人のペースで起こっている。
  そしてこれは、今後15年は続くだろう。(Engstrom, 2005)

IBM 2005 Global Human Capital Studyによれば、

◆ 今後5年間(2005縲鰀2010年)に、アメリカのエグゼクティブや
  マネジメント層の19%が定年退職する。(Rogers, 2005, p.3)

CCL(Center for Creative Leadership)が、
世界中のエグゼクティブに対して行った調査によれば、

◆ およそ90%が「リーダーシップ」を、
  会社のグローバル成長のために最も重要なファクターだと答えた。

◆ 50%の企業が、自分の会社にはリーダーとして使える人材が
  不足している、と答えた。(Gandossy and Kao, 2004)

CCLによれば、リーダー層は、年々層が薄くなっており、
そのため、この層のリクルート戦争はますます熾烈になっているといいます。
にもかかわらず、企業はリーダーの創出を望みながらも、
本来の育成システムに時間をかけなくなっている、というのです。

私たちは、経験や時間を積めば、やがて新しいリーダーが出てくると
漠然と考えている傾向があります。

確かにリーダーの役割、役職につくことはありますが、
だからといってリーダーシップを発揮できるかどうかは別の問題です。

また、リーダーはリーダーによって育成されるという思い込みがあります。

しかし、組織のリーダーシップに秀でたエグゼクティブでも、
その後に続くリーダーを育てられないことはあり得ます。

このパラドックスを理解するために、100名のエグゼクティブと、
900名の周囲の関係者(オブザーバー)に対して調査が実施され、
以下のようなデータが取得されました。

◆ シニア・リーダーたちは、社員に対して、
  あまり個人的に近くなろうとはしない、という特徴がある。
  その結果、孤立し、次世代リーダーにふさわしい人間を
  直接見つけることを妨げている。

◆ 一般的に、エグゼクティブは、自分のキャリア昇進しか興味がなく、
  他の社員が上へ上がって行くのを手助けすることには興味がない、
  という偏見がある。

◆ タレントマネジメントの方法が確立されていない職場では、
  エグゼクティブは、自分に似た人間を昇進させる傾向がある。
  もっと悪いケースでは、政治的な理由や、えこひいきで昇進が決まっていく。

リーダーシップの開発は「公共の利益」につながります。
しかし、漠然とやがて現れるかも知れないリーダーの登場を待っているのでは
この不確実な状況を乗り切ることはできないでしょう。

また、従来のリーダーシップ・コンピテンシーに
次期リーダーをマッチさせるというやり方もあまり機能しないでしょう。

そもそも、無理矢理コンピテンシーに次期リーダーをマッチさせたからといって
成果が約束されるわけではありません。

リーダーシップの開発は、行動と行動に対するフィードバックを通して
学び続けるものであり、同時に個々の能力や強みに合わせて、
開発されるものなのです。

リーダー、リーダシップの開発の基本は、
リーダー、リーダーシップとは何かについて、その候補者に常に考えさせること、
また、自分が場に対してどのような影響を与え、
また影響を受けているかについて、フィードバックを受け、
自律的に行動を修正する能力を身につけることです。

当然、リーダーの育成は「テーラーメイド」である必要があります。


【参考資料】
"The paradox of gifted leadership :
developing the generation of leaders "
Pete Hammett
VOL. 40 NO. 1 2008, pp. 3-9
Copyright Emerald Group Publishing Limited
ISSN 0019-7858
INDUSTRIAL AND COMMERCIAL TRAINING

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