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ひらめきを呼び起こす環境

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私は、毎週月曜日の朝6時半から電話でコーチングを受けています。

ゴールは会社の経営をうまく行かせること。売上や、組織編制、人材育成、新商品の開発、次の会議で何を話すかなど、経営やマネジメントの題材を中心として扱います。ときに、個人のビジョンを扱ったり、このコラムの原稿を書くためのコーチングなどを受けることなどもあり、その内容は多岐にわたっています。

電話でのコーチングのおもしろいところは、コーチからの問いかけに、考え、答えるという会話を繰り返しているときに、自分が口に出している言葉以外に、同時に頭の中で別のことを考えていたり、自分が話している内容に刺激されて、話している最中に、言葉とは別のイメージが頭に浮かんだりすることにあります。表面的には、コーチの問いかけに答えている会話なのですが、自分の内側では、それとはまったく別のアイディアやイメージが想起することがあるのです。これが私にはとてもおもしろい。

ときどきコーチと実際に会って、対面型のコーチングを受けることがあります。相手の顔や表情を見ながらのコーチング。これはこれで、話がはずんで楽しく、気づきも成果もあるのですが、電話のときのような、実際上の会話以外の発想やひらめきや、イメージの拡大が起こりにくいように感じます。


人間は、情報収集の約80%を視覚に依存していると言われています。

脳は、話の内容だけではなく、大量の視覚情報をも同時に分析して、瞬時に次に自分がとるべきコミュニケーションをはじき出しているわけです。対面型のコーチングは、この視覚情報の処理に、脳の大半が使われてしまうために、会話以外の想起作用が半減されてしまうのだと思います。

電話会議によるグループトレーニングと対面型の集合トレーニングでは、その差はもっと顕著となります。

私は講演や研修など人前で話をする機会が多いのですが、終わるとぐったり疲れる。複数の人間の表情や態度は、1対1の情報量の何倍にもなりますから、その人たちの顔を見ているだけで、脳はその情報処理のためにフル回転してしまうのです。


電話によるコーチングには、さまざまなメリットがあります。どこにいてもできること。それに由来する時間的、経済的なメリットなどなど。それにも増して最大のメリットは、それが1対1であれグループであれ、相手の顔色を伺わなくてよいところにあるのだと思います。それは思った以上に会話を自由にし、そして会話に対する集中を生み出します。それは言葉として実際に交わされている会話以外の想起、まさにオートクライン(※欄外参照)を起こしやすい環境だといえるでしょう。

※オートクライン(autocrine):
自分が話した言葉(内容)を自分で聞くことによって、自分が考えていたことに気づくこと。

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